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喫煙の生体影響と発癌

蟹沢成好*1

はじめに

通常、喫煙の生体影響で最も注目されるのは肺癌であるが、最近は疫学統計や剖検症例の喫煙分析等から、広く全身の癌の発生との関連が検討され、さまざまな部位の悪性新生物が喫煙と深い関係があることが指摘されている1)。これらのデータでは、肺癌、喉頭癌のほか、胃癌、肝癌、膵癌、膀胱癌、子宮頸癌が喫煙で有意に増加するほか、間接(受動)喫煙によっても肺癌、副鼻腔癌、脳腫瘍が増大するという。このような知見に立脚して論を進めるならば、体のさまざまな部位に癌の発生をみる喫煙の発癌様式は、化学発癌の知見からすれば、通常高い臓器特異性を示すプロモーターの作用とみなすよりもイニシエーターとしての作用と考えるか、あるいは多種のプロモーターが含まれていて多元的にプロモーション作用を及ぼしている結果であると解釈される。たばこ煙のなかには、200余にも及ぶ発癌性物質や多くのプロモーターの存在が知られており、喫煙を発癌要因として位置付けることに不都合はないが、現実の癌発生にはそれがイニシエーターであるとプロモーターであるとを問わず発癌要因の濃度あるいは暴露量と時間の問題を抜きにして論じることはできないし、長期間を要する癌発生の過程では、当然ヒトはさまざまな環境要因にさらされるので、問題は複雑であり、疫学研究の不備も考慮すると科学的判断は慎重を要する2)。ともあれ、これらの疫学研究成績は、国際がん研究機関(IARC、Lyon)専門家会議において「たばこ煙はひとに対して発癌性あり」との結論を生むところとなり、今日の世界的禁煙キャンペーンの原動力となったのであるが、一方で喫煙による発癌については依然として実験的証明に欠けることも問題点として残されている。したがって喫煙と癌の問題はなお多角的な検索、究明が必要であり、以下の助成研究はその試みの一端といえる。このような見地から、本項では、喫煙の直接的発癌作用に関する研究成果は以下の項に譲るとして、たばこ煙に含まれるがん関連諸因子の分析や、その特性、それらの生体影響、さらには腫瘍の増殖や転移に及ぼす喫煙の影響など、がんにかかわる幅広い領域の問題についてどのような研究成果が得られてきたかについて総括してみたい。

 

研究課題の分類

喫煙の生体影響と発癌という概念で総括される研究の領域は、疑いもなく広範多岐にわたるので、限られた研究者による、しかも各研究者の研究指向本位の課題選択が中心の助成研究では、研究課題の偏りは避け難いので全体を筋道だってまとめることは困難であるが、多少の理解の便を図る目的で1986年から1993年にいたる8年間に助成研究の課題として扱われた主たるテーマを以下のように5つの項目に分類し、総括を試みた。

(1)たばこ成分の研究。たばと煙中に存在する変異原物質の検出と除去、あるいはたばこに含まれる発癌抑制物質のようなたばこ成分の研究。

(2)たばこタール成分の生体影響とその修飾因子の研究。喫煙による生体内薬物代謝系への影響あるいは代謝物、DNA付加体等の検索など。

(3)喫煙の生物学的作用に関する研究。さまざまな生理活性や細胞接着因子に対する喫煙の影響、また、たばこ煙による変異原性の発現と抑制、あるいは抗変異物質投与によるたばこの生体影響の抑止効果、たばこ煙の変異原性と抗変異原性のバランスの研究のようなたばこの変異原性に関連した研究、癌の生物学に関連する研究として腫瘍の増殖・転移に及ぼす喫煙の影響など。

(4)ストレス刺激と癌の発生に関する研究。

(5)その他の研究。

である。以下にこれらについて順次、研究成果を総括してみたい。

たばこ成分の研究

1)たばこ煙中の変異原物質について

前述のようにたばこ煙中には200余にわたる発癌性物質が存在するといわれるが、これらの既知物質のみではたばこ煙中の変異原性、癌原性を説明できないといわれる。この点に着目して、若林ら30)は、 たばこ煙の人体への影響評価の資料を提供する目的で、加熱食品などに存在する癌原性へテロサイクリックアミンがたばこ煙中に存在する可能性があると考え、新しい簡便かつ高精度の分析法を開発し分析した結果、ベンツピレンやジメチルニトロサミンに匹敵する量の5つのへテロサイクリックアミンを検出した。しかし、これによって説明できる変異原性は、たばこタールの全変異原性の2.7%にすぎないことから、さらに未知変異原物質の探索が重要と考え、ディーゼルエンジン排気などに含まれるニトロピレン化合物についても高感度検出法により検索したが検出されなかった31)。ともあれ、未知変異原物質探索の必要性の指摘は重要である。若林ら3)32)はさらに研究を変異原・癌原前駆物質の検出とその除去法に進展させ、たばこタール中のニトロソ化変異原前駆物質を検索した結果、ニトロソインドール化合物を見出したが、この物質はたばこ煙のみならず広く環境中に存在することが知られており、ニトロソインドール化合物の発癌性を検討することが重要であると指摘している。

2)変異原物質へのヒトの暴露量

ところで、現実の問題としてはこれら変異原物質へのヒトの実際の暴露量が問題となる。

1990年以来、若林ら4)5)33)34)はこの点について検索を試みているが、癌原性へテロサイクリックアミンに関しては、Trp-P-1、Trp-P-2、PhIP、MeIQxのヒト尿中排泄量を検索したところ健常者すべてに検出され、喫煙により特に増加は認めていない。トリプトファン加熱物質中に存在し遺伝毒性を示すハルマン、ノルハルマンの尿分析では、検索対象すべての試料から検出され、β-カルボリン化合物常時暴露が明らかにされたが、この場合も喫煙の影響は認められていない。おもしろいことに、ハルマン、ノルハルマンを全く含まない輸液により栄養されている入院患者尿でも検出されたことから、これらの物質は食品由来だけではなく、生体内で生成される可能性が示唆されるという成果も得られている。さらに、若林ら35)は、発癌性へテロサイクリックアミンのヒトへの暴露量を推定するため、5銘柄の紙巻きたばこの主流煙、副流煙についてTrp-P-1、Trp-P-2、AαC、MeAαCおよびPhIPの分析を実施した。その結果、両者からPhIPを除くすべてが検出され、副流煙では主流煙より低値であった。しかし、日常生活で暴露を受ける微量のへテロサイクリンクアミンがヒトの癌発生にどのように関与しているかは、実際のところ明らかではなく、今後の重要研究課題といわねばならない。なお、若林ら36)は、ヒ トへの暴露量を推定するもう一つの方法としてのDNA付加体の検索を、喫煙者および非喫煙者の肺を用いて32P-ポストラベル法により行っている。喫煙者(2名)、非喫煙者(1名)とも、9~10個の付加体スポットが検出され、そのパターンは類似していたが、付加体量は喫煙者で大であったという。同機の研究は蟹沢ら97)も行っているが、男性喫煙者で付加体が検出されたもの9/12(75%)に対し非喫煙者男性1/2(50%)、女性2/10(20%)と喫煙者でも陰性者がいること、陽性者の異なる展開を示したスポット数(平均)はそれぞれ2.4±1.1、3、3±0で陽性者のスポット数には差がなかったと報告している。喫煙本数や期間との関係、付加体の消失速度、そしてそれらの個体差の問題、さらには付加体量と発癌の相関性、また検出条件など、検討すべき問題は多々残されており、しかもまだ圧倒的に検索数が少なく、研究を評価をするには時期尚早であるが、今後の研究課題として重要な分野の一つであろう。

3)たばこ成分中の発癌抑制物質

たばこ成分というと有害成分に注目が集まるが、別な観点から検索したのが藤木らならびに西野らの研究である。藤木ら6)11)は、たばこ煙濃縮物に含まれる物質のなかに、強力なプロモーターであるTPAのプロモーター活性や種々の生物活性を抑制する物質、αセンブラトリエン-4,6-ジオール(α-CBT〕およびβ-CBTが存在し、これがかねて研究を進めていたサルコフィトールAと同様な化合物であることから、それらの作用機構やがん予防薬としての可能性を探る目的で研究を行っている。その結果、サルコフィトールAが微量でテレオシジンの発癌プロモーション活性を抑制すること38)、また飲料水あるいは混餌投与により自然発症マウス乳癌39)40)、同肝癌41)、同リンパ腫の発生抑制42)、ラットMNU大腸発癌42)、ラットDHPN肺癌、ハムスターBHP膵癌その他の発生抑制を認め、さらにテレオシジンとは異なる作用機構を示すオカダ酸の発癌プロモーション活性も抑制すること、さらにその抑制作用が抗ras作用に基づく可能性を明らかにした43)。さらに藤木ら12)44)は、サルコフィトールAは毒性が低い点が注目されるが、ヒト予防薬としてはさらに構造が簡単でかつ強力な活性をもつ化合物の合成が必要と考えて、構造が一部類似したより簡単なキャンベントール(ハワイ大学M.Tius教授合成)について同様の検索を行い、サルコフィトールAよりもオカダ酸のプロモーション活性を強く抑制すること、やはり抗ras活性をもつことを明らかにした。また、TNF-αがin vitro 2段階形質転換実験において強力なプロモーション活性を示すこと、BALB/3T3細胞のオカダ酸処理によるマウスTNF-α遊離をサルコフィトールAが抑制することを認め、TNF-αはヒト発癌における重要なメディエイターであるが、その合成、遊離をサルコフィトールAが抑制するという新しい作用機構を発見している45)

西野(1986~1993)は、たばこ製品中に種々の発癌抑制物質の存在が知られるようになったことを受けて、そのような物質の同定と作用機序の解明を目的に研究を進めている。発癌にはイニシエーションとプロモーションの両過程があるが、in vitroの系でプロモーション過程を抑制する物質のスクリーニング法を確立していることから、もっぱら抗プロモーション活性の検索を行っている。その結果、西野ら13)-17)はフラボノイド(ケルセチン)、テルペノイド(グリチルレチン酸、グリチルリチンなど)、クマリン類などの抗プロモーター活性(in vitro)ならびにin vivo発癌実験での抗プロモーション作用を確認している46)。抗プロモーターの作用機序についての検索では、細胞内Ca2+が関与することを明らかにし46)、TPAタイプの発癌プロモーターは細胞のリン脂質代謝を亢進させることから、リン脂質代謝を抑制する化合物の多くがin vivoでプロモーション作用を抑制することを見出した47)。また、これを指標として抗プロモーター物質のスクリーニングが可能であり、たばこ製品中に含まれるプロモーション抑制物質を検索している。その結果、cis-アビエノールがマウス皮膚2段階発癌に、たばこの甘味料グリチルリチンが4NQOとグリセロールによる肺2段階発癌にそれぞれ抑制的に働くことを見出している18)19)47)。たばこに含まれるカロチノイドでも、α-カロチンには既知のβ-カロチンより強い皮膚発癌の抗プロモーション効果(in vitro)と抗プロモーション作用(in vivo)のあることが明らかにされた20)48)。もう一つ興味をひく成果としては、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の抗プロモーション作用の解明をあげることができる。喫煙によるさまざまな生体内成分の量的変動が知られているが、その一つとしてニコチン刺激によるDHEAの増加があり、DHEAには発癌抑制作用のあることが明らかにされたので、西野はその作用機序を検討し、DMBA皮膚2段階発癌過程のうちTPAによるプロモーションを有意に抑制すること、4NQOとグリセロールによる肺発癌では、イニシエーション、プロモーションの両過程を抑制することを見出した49)50)。そのほか、たばこに含まれるカロチノイドのなかで含量が高いルテインのDMBA皮膚発癌における抗プロモーション作用50)、cis-アビエノールおよびその類緑物質スクラレオール51)、たばこ香料にも用いられるクマリンとその関連化合物アノマリン、フラボノイドの仲間のケルセチンなど、多くのたばこ成分あるいはたばこ製品物質が発癌抑制的に働くことが明らかにされ、特にフラボノイドでは、細胞周期のG1期停止をきたすことが明らかにされた52)53)。これらは実に喫煙の多面的、あるいは相反的な生体作用を浮き彫りにしたものといってよいだろう。もちろん、これらが量的、質的に実際の喫煙の場面でどのように働いているのかは今後の課題であるが、このような新しい研究分野は、bio-chemopreventionと呼ばれ、これからの発展が期待されている領域である。

 

たばこタール成分の生体影響とその修飾因子の研究

ヒトのがんの発生に関係して注目されるのがニトロソ化合物による発癌である。その最大の特徴は、複数の非発癌物質の摂取によって特定条件下で生体内において発癌性ニトロソ化合物が合成される場合があることであろう。津田らは喫煙により生体内のニトロソ化機能がどのような影響を受けるのかをさまざまな角度から検討している。津田ら21)22)は、ヒト尿中にニトロソプロリンやチオプロオリン、メチルチオプロリンのニトロソ化合物が常在すること、それが喫煙により有意に増加することを見出し54)、その原因として、(1)たばこ煙のNoxが体内ニトロソ化に関与する、(2)唾液中ロダン塩が胃内ニトロソ化反応を促進すると推論、後者についてロダン塩やいろいろな化学物質の影響につき検索を行っている。ちなみに、唾液中に常在するロダン塩の濃度は、喫煙により2~3倍に上昇することが知られている。その結果、チオプロリンのニトロソ化反応速度はロダン塩により著明に促進されることが明らかになった55)。しかし、一方でロダン塩濃度の上昇により唾液中の亜硝酸塩濃度は低下するため、体内ニトロソ化反応は著しく抑制された56)-58)。ここにも促進と抑制という相反する現象がみられ、たばこと発癌の関係は、一つにはこれらの濃度バランスの問題と考えることができよう。

江角らは生体内ニトロソ化反応を別な観点から研究している。従来はニトロソ化反応は酸性条件下で起こると考えられ、したがって胃液中でのニトロソ化が研究の中心であったが、中性条件下でも起こることが明らかになった。江角ら23)59)は、マクロファージをリポポリサッカライド(LPS)存在下で培養するとニトロソ体の生成が顕著に増加することを明らかにしていたので、生体内で起こるニトロソ化反応を明らかにする目的で、この反応が無細胞系でも起こるか否かの検討を行った。その結果、それが再構成できること、その反応がL-アルギニン依存性で一酸化窒素合成酵素が関与することを明らかにしている。また、強い炎症反応に伴って一酸化窒素合成酵素が局所に誘導され、ニトロソ化反応を起こしうる一酸化窒素が大量に生成されるとすると、その影響は無視できないと指摘している。彼らは一酸化窒素合成酵素のcDNAのクローニングを行い、これをCOS1細胞で発現させ、その生物活性も明らかにしている60)61)

一方、加藤ら24)-26)は、喫煙による肺癌の発生を抑えるにはたばこ煙中の変異原性を抑制することが重要と考え、エームス試験を基準にして、癌原性へテロサイクリックアミンに対し抗変異原性を示す食品中のメラノイジンによるたばこタールの変異原性の変化を検索した。その結果、たばこタールの変異原性が50%減少すること、また、醤油、カラメル、糖密などから分離した非透析性メラノイジンでも、Trp-P-1に対し74~92%の杭変異原性を示し、ほかの芳香族アミン系化合物やベンツピレン、アフラトキシンB1などにも抗変異原性を示すことが確認された。さらに、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシド、過酸化水素などの活性酸素に対する強い消去能が確認された62)-64)。そこで加藤らは、さらにメラノイジンの変異原性抑制機構を検討し、中間代謝活性化体がメラノイジンとの相互作用により不活性化されるためであることを明らかにした65)。また、生体内でも抑制作用を示す可能性があることも判明した。

グュエンら66)は、グリシン-グルコース系メラノイジンの化学発癌抑制作用をin vivoで検討するため、MeIQx投与による肝癌発生過程に生ずるGST-P陽性巣の発現速度を指標として、ウイスターラット5か月発癌実験を行っている。しかし、メラノイジン投与で若干の陽性巣面積比と数の減少をみたものの、有意の結果は得られていない。なお、グュエンらのたばこ煙抽出物内の抗変異原性の検索では、中性およびフェノール性画分に抗変異原性成分が含まれているという67)

白須らの研究も、たばこ煙の生体影響を抑制することに主眼をおいて、抑制因子の検索を専らin vivo系で実施している。1986年にはハムスターを用い、発癌物質ジエチルニトロサミン(DEN)の皮下投与と喫煙の組合せに、西野らと同様、ケルセチンを混餌投与し、発癌への影響をみている68)。DEN投与では気管上皮の乳頭腫が最も高頻度に認められ、この実験でも気管乳頭腫が好発したが、その発生頻度、組織型などには各群間に差を認めなかった。ただし、発生時期は喫煙対照群にくらべてケルセチン投与群で有意に遅延、ないし遅延傾向を認めたという。この結果から、白須らはケルセチンにはDENの呼吸器系腫瘍形成における喫煙のプロモーター作用を抑制する効果があると推測している。また、7,12-ジメチルベンツアントラセン(DMBA)とたばこタール、抗変異原物質バニリンの組合せによるマウス皮膚発癌実験において、バニリンの影響を検討し、腫瘍発生数の減少傾向と増殖速度の有意の低下、表皮の肥厚の抑制を認めている69)70)。同様の実験系でプロモーターにTPAを用い、バニリンを混餌および直接経皮投与した群での比較では、経皮投与群においてのみ抗腫瘍性効果を認めている71)72)。また、2段階発癌に対する抑制時期の検索を行い、イニシエーション期のバニリン投与がより抑制的ではあったが、有意の抑制ではなく、全期間にわたりバニリンを経皮投与した場合にのみ、腫瘍発生が有意に減少したという73)

たばこタール成分の生体影響を薬物代謝の面から検討しているのが山根らで、さらにそれに微量金属化合物の影響をからませて研究を進めている。山根ら27)74)75)は、環境影響が問題とされる1-ニトロピレン(1-NP)の肺、肝、腎への分布とDNAへの結合量、各臓器における1-NP代謝活性、変異原活性の検索を行うとともに、たばこタール中性分画(フィルター付きハイライトより採取)投与ラットに1-NP(3H)のip、経口、経気道投与と、さらにチタン投与のあとの1-NP投与を行って、チタン投与の影響を検索した。その結果、投与濃度依存的な1-NPの臓器分布、DNA結合量の増大と、特に低投与量時の肺内分布の相対的高値を認めた。この場合にタール中性分画を前投与しておくと、1-NPの臓器分布の増加傾向とDNA結合量の顕著な増加が認められるという。またチタン化合物(titanyl(II)acetylacetonate)投与の影響は顕著ではなかったが、チタン錯体 (dichlorobis-(acetylacetonale)titanium(IV)ほか)あるいはクエン酸(IV)チタンの皮下投与では、1-NPのDNA結合量の顕著な抑制が肺と肝、特に肺で認められている。

1-NPの代謝的活性化酵素であるニトロ還元酵素の活性に及ぼすたばこタール中性分画投与の影響をみた実験では、無処置対照群にくらべ肝では同酵素の活性が減少したのに対し、肺では上昇がみられた。さらに変異原活性についても、たばこタール中性分画の投与は、ハムスターの肺S-9(ホモジネート上清)では、1-NPの変異原活性を高めるように作用していて、肝とは全く逆の結果が得られている。すなわち、1-NP代謝活性の差異が各臓器における核酸DNAへの結合量に反映しているものと考えられた。

ところで、山根ら76)は、金属の生体防御作用とは別に、環境に比較的多く存在する鉛化合物の肺発癌促進作用についても検討しており、N-ジメチルニトロサミン(NDMA)投与マウスに塩基性酢酸鉛(BLA)を経口投与すると、発生腫瘍数が有意に増加したが、この際に肺可溶性画分にスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の抑制が認められ、遺伝子傷害の機会の増大を示唆する所見と考えている。

 

喫煙の生物学的作用に関する研究

喫煙の影響はきわめて多岐にわたるが、この項で扱う研究は主として疾病の直接原因としての喫煙の影響をみたものではなく、選択の範囲は広いがテーマとしては焦点をしぼった生物学的作用とでも呼ぶべき種類の研究を対象としている。

西本ら77)は、体細胞突然変異に及ぼす喫煙の影響を探る目的で、Albertiniの方法にならい、hypoxanthine-guanine-phosphoribosyl-transferase(HGPRT)をマーカーとして、喫煙者の末梢血リンパ球を用い、HGPRT活性を欠如する突然変異細胞の定量的検索を試みている。その結果によると、非喫煙者における平均頻度0.826×10-6に対し、喫煙者平均では1.289×10-6と高かったが、有意差は認められていない。また、その活性の低下が肺気腫症における肺胞破壊の成因と考えられているα1アンチトリプシン(α1-AT)の活性に対する喫煙の影響をみるため、α1-ATの酵素的酸化不活化反応に対して防御的役割を果たすと考えられる血清のアンチオキシダント活性(AOA)を測定し、喫煙のAOA活性に対する影響を検討している78)。その結果、血清AOAは喫煙者群0.58±0.13、非喫煙者群0.70±0.17、肺気腫症群0.69±0.14で、喫煙者群のAOA値が有意に低値であった。山木戸ら79)80)はさらに対象を増やし、肺気腫症と血清AOAの関係を検討したが、同様の結果を得ている。また、気管支肺胞洗浄液のアンチオキシダント活性、α1-PIに及ぼす喫煙とビタミンE欠乏の影響やSODに及ぼす喫煙の影響をみているが、有意の結果は得られていない81)

居石ら82)は、腫瘍の増殖、転移に対する喫煙の影響を、宿主要因としての細胞間基質と腫瘍細胞のもつ線溶活性との相互関与の観点から、マウス悪性黒色腫B16由来の肺転移巣形成能の異なる3種の細胞系を用いて検討している。基底膜成分ゲルを用いたin vivoでの浸潤性と転移巣形成能はよく一致した。ただし、転移能に対する喫煙成分の影響については、今後の検討に委ねられている。

一般に喫煙の影響を検証するためには、たばこ煙への長期間暴露が必要と考えられる。しかし、堀江ら、そして三方らは微量たばこ煙が生体にどのような影響を与えるかについてさまざまな角度から検討を行っている。堀江ら83)は、気道上皮のクルチツキ細胞の分布動態を検索する目的で、週5日、2週間にわたり吸煙させた雌マウスを無処置雄マウスと交配させ、胎生2週、出生直後、出生後10日と20日後の胎仔または仔マウスの肺組織の光学顕微鏡的ならびに免疫組織学的検索を行っているが、2週間吸煙雌マウスの胎仔、仔マウスの気道上皮クルチツキ細胞に数的、質的に何ら異常は認められていない。また、3か月間吸煙させたハムスターの気管の培養により外生した細胞の増殖動態、光学顕微鏡的、電子顕微鏡的観察、MNNG処理細胞およびTPA追加投与時の影響などの検討を行っているが84)85)、MNNG 1μg投与群では、吸煙の有無にかかわらず、無処理群およびMNNG 10μg投与群にくらべて増殖良好で、たばこ煙の影響は認められなかった。 しかし、BrdUによる検索では、吸煙群でS期細胞の出現頻度が高く、細胞増殖の亢進が示唆される結果であった。

既述のように、居石ら82)はたばこ煙の腫瘍の増殖、転移に対する影響を宿主側の要因から検討しているが、三方ら86)87)は腫瘍細胞の間質細胞・内皮細胞への接着に問題があると考えて、その実験モデルの作製を試み、4種の肺癌細胞培養株と肺組織由来線維芽細胞培養株の混合重層培養モデルを開発した。おもしろいことに、組織型により線維芽細胞に対する増殖態度が異なり、小細胞癌は散在孤立性に、扁平上皮癌は線維芽細胞上に重層性に増殖するのに対し、腺癌、大細胞癌は線維芽細胞間やその下へのもぐりこみを示したという。この腺癌細胞との混合培養系を用い、接着関連分子に対する単クローン抗体CF-9およびαICAM(接着関連分子)を用いた免疫電顕により観察したところ、両接着分子とも接着部位では濃度が増大して凝集を示し、両分子とも癌細胞のもぐりこみ現象に直接的にかかわっていることを示唆する結果であった。しかし、たばこ煙が直接接着分子を介して癌細胞浸潤にかかわっているという証拠は得られていない86)。ヒト肺腺癌組織の検索でも同じ結果が得られたうえ、転移に重要と考えられる血管内皮細胞との接着部分の検索でもCF-9、αICAMとも接着部位に凝集がみられ、さらに細胞の移動にかかわると考えられる糸状足でも同様の発現があり、能動的に動く細胞の“もぐりこみ”現象にこれら分子がかかわっていると思われる結果を得ている87)。ヒト肺癌細胞が抗接着分子抗体、抗CD44抗体、抗VLAβ1抗体、抗ICAM抗体に陽性であることとリンパ節転移との相関を検討したところ、抗CD44抗体、抗VLAβ1抗体とは有意の相関が認められ、ことに2種以上の抗体で陽性であることとリンパ節転移との相関はより強く、このことから、リンパ節転移には複数の接着分子の関与があるものと思われる成績であった88)89)

 

ストレス刺激と癌の発生に関する研究

さまざまな心身障害の原因因子として、H.Selye(1936)はストレスの概念を導入した。今日では、がんの発生についてもストレスがその原因の一つに数えられるにいたっている。しかし、ストレスががん発生を促進するとの報告の一方で、抑制的に働くとの説もある。このような食い違いは、もちろんいろいろな場合にみられることではあるが、ストレスのようにその概念が必ずしも明確でなく、ストレスを与える原因としての刺激(ストレッサー)が多岐にわたり、さらにストレスの正確な定量手段が見出されていない段階では、相互に矛盾した解答がでることは当然避けられぬところである。喫煙科学研究にストレスとがんの課題が取り上げられたのは1990年からである。そのなかで、原田らは消化器における化学発癌に対するストレスの影響を、西野は皮膚および肺における2段階発癌に対するストレスの影響を、また榎本らは、LECラットの自然肝発癌におけるストレスの作用を検討している。

原田らが試みた方法は、雄ウイスターSPFラットを1区画おきに配置した電撃グリッドにより電撃を与える動物と、それらが示す異常反応(鳴き声、跳躍、毛の逆立ち、排尿、脱糞などの情動反応)から情動ストレスを受ける動物、無処置対照群の3群に分ける方法であり、単純にストレスの影響をみた実験、またこれらの実験に電気刺激前に警告信号を与えた場合などの実験を行って、体重測定のほか剖検により影響を検索している。その結果、実験条件にかかわりなく、電気刺激群において体重、飼料摂取量、飲水量、臓器重量に負の影響が認められたが、副腎重量では増加を認めている。しかし、心理的情動ストレス負荷群には影響はほとんど認められず、一方、事前に警告を与えた群ではストレスの影響はより大きかったという90)。このような基礎実験のうえに、ラットによるMNNGと食塩食による消化管2段階発擬実験に上記電気刺激ストレス負荷を組み合わせる実験を行ったところ、腫瘍発生頻度に群間有意差はなかったが、発生時期がストレス群、特に情動ストレス負荷群で顕著に早かったという91)。物理的ストレスより心理的ストレスがより影響が強かった点は興味を引く。原田らは、このような物理的、心理的ストレス負荷時の生体反応を生化学的に検討しているが、物理的ストレス負荷群の尿中エピネフリンおよびノルエピネフリン濃度が顕著に増加し、血液中のACTHおよびグルカゴンが低値を示した。しかし心理的ストレス群では変化は認められないという。また、ベータカロチン投与を試みているが、副腎重量増加の抑制傾向を認めている92)。これに引き続いて同様の発癌実験をベンツピレンのマウス経口投与と物理的、心理的ストレス負荷により行った結果では、いずれのストレスによっても担腫瘍動物数、発生腫瘍数とも有意の増加を示した93)。この場合も物理的ストレスのみならず心理的ストレスによるマウスBP胃癌の発生促進効果が注意を引く。

西野94)-96)は、DMBAとTPAによる皮膚2段階発癌系あるいは4NQO・グリセロール肺2段階発癌系を用いてプロモーション段階の物理的あるいは心理的ストレスによる発癌への影響を検討しているが、皮膚発癌では癌初発時期の短縮化を認めたものの、肺発癌系では全く影響を認めていない。そこで、ストレスによる皮膚発癌促進を抑制する方法を求めて、グリチルリチン経口投与の効果を検索した。その結果、ストレスによる発癌促進作用は完全に抑制される結果を得ている。

この課題に対し榎本ら98)-101)は、LECラットの自然発症肝癌発生に対しストレスがどのように影響するかを検討している。LECラット肝は微量の癌原物質に対し高い感受性を示すことがすでに明らかにされているが、電気ショックを与えたLECラットにDENを投与するイニシエーションに対しての影響は明らかでなく、LECラットにDENを投与し、慢性肝障害期に電気ショックを与えると、有意に多数のGST-P陽性細胞巣が誘導され、プロモーションを促進する可能性を明らかにしている。その機序についての検討は現在進行中という。

 

その他の研究

北村ら102)は、肺癌発生の基礎的研究の一環として、ラット気管の長期培養法を確立することに腐心してきたが、基本培養液にベンツピレン(BP)、ヒドロキシプロピルニトロサミン(DHPN)、あるいはメチルニトロソグアニジン(MNNG)を微量(10γ/ml)添加することにより長期培養を可能にした。この長期培養気管片の壁面には、異型細胞増殖巣しか認められず、癌の発生をみていないが、この系を使ってBPによるP-450の誘導を検索したところ気管上皮細胞での誘導は証明できず、これら発癌剤に感受性を示す細胞が気管上皮には存在しないと判断している。また、培養液に微量の発癌剤を添加することなく長期間培養することに成功し103)、この系を使ってBPのもう一つの代謝酵素であるグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)の検索を行い、誘導を証明した。問題は、ハムスター、ことにヒト気管細胞では不成功に終わったことで、別途の方法が必要としている。また、BP添加を継続して長期培養を行うと、限局性に増殖して扁平上皮細胞化を起こすが発癌にはいたらず、その理由としてP-450やGSTのような代謝活性が培養細胞では失われているためと結論づけている104)

林ら105)は、肺癌の多発する沖縄地方の癌原要因を明らかにする目的で、沖縄在住の肺癌患者と健康者について血清を分離・分画し、リンパ球系細胞におけるプロテアーゼ活性のMNNGによる誘発レベルを上昇させる因子を検索した結果、肺癌患者に特有の因子の選別に成功したと報告している。ごく少数例の結果であり、因子の本態も今後の検索を待たねばならないが、特異集団における原因追及はヒト肺癌の研究では重要であり、その進展が期待される。

 

文献

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28) 西野輔翼 ストレスによる発癌の促進. ストレス科学7:104-107,1992.
29) 西野師翼、清水義治 ストレスとがんに関する研究における諸問題についての考察. ストレス科学7:42-46,1993.

研究年報

30) 若林敬二、長尾美奈子 たばこ煙中の新しい変異原・がん原物質の検出. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:19-23.
31) 若林敬二、長尾美奈子 たばこ煙中の新しい変異原・がん原物質及び変異原・がん原前駆物質の検出. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:172-177.
32) 若林敬二、長尾美奈子 たばこ煙中の新しい変異原・がん原物質の検出及び除去方法の検討. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:82-85.
33) 若林敬二、長尾美奈子 たばこ煙中の新しい変異原・がん原物賞の検出及び除去方法の検討-ヒトへの曝露量-. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:35-39.
34) 若林敬二、長尾美奈子 たばこ煙中の新しい変異原・がん原物質の検出及び除去方法の検討-ヒトへの曝露量-. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:28-32.
35) 若林敬二、長尾美奈子 たばこ煙中の新しい変異原・がん原物質の検出及び除去方法の検討-ヒトへの曝露量-. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:22-26.
36) 若林敬二、長尾美奈子 たばと煙中の新しい変男原・がん原物質の検出及び除去方法の検討-ヒトへの曝露量-. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:17-21.
37) 蟹沢成好、薄田康広、北村 均ほか 肺化学発癌の癌遺伝子の変異と癌原物質. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:59-65.
38) 藤木博太 たばこ成分中に含まれる発がん抑制物質の研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:98-102.
39) 藤木博太 たばこ成分中に含まれる発がん抑制物質の研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:95-99.
40) 藤木博太 たばこ成分中に含まれる発がん抑制物質の研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:44-48.
41) 藤木博太 たばこ成分中に含まれる発がん抑制物質の研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:50-54.
42) 藤木博太 たばこ成分中に含まれる発がん抑制物質の研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:7-11.
43) 藤木博太 たばこ成分中に含まれる発がん抑制物質の研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:1-5.
44) 藤木博太 たばこ成分中に含まれる発がん抑制物質の研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:1-6.
45) 藤木博太 たばこ成分中に含まれる発がん抑制物質の研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:1-4.
46) 西野輔翼 タバコに含まれる発がん抑制物質に関する研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:103-107.
47) 西野輔翼 タバコに含まれる発かん抑制物質に関する研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:100-106,
48) 西野輔翼 タバコに含まれる発がん抑制物質に関する研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:49-54.
49) 西野輔翼 タバコに含まれる発がん抑制物質に閲する研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:55-60.
50) 西野輔翼 タバコに含まれる発がん抑制物質に関する研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:12-18.
51) 西野輔翼 タバコに含まれる発がん抑制物質に関する研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:4-10.
52) 西野輔翼 タバコに含まれる発がん抑制物質に関する研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:6-13.
53) 西野輔翼 タバコに含まれる発がん抑制物質に関する研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:5-9.
54) 津田充宥、大垣比呂子 喫煙の生体内ニトロソ化反応に及ぼす影響. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:24-31.
55) 津田充宥、大垣比呂子 喫煙の生体内ニトロソ化反応に及ぼす影響. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:178-185.
56) 津田充宥、倉島由紀子 喫煙の生体内ニトロソ化反応に及ぼす影響. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:129-135.
57) 津田充宥、倉島由紀子、加藤珠実 喫煙の生体内ニトロソ化反応に及ぼす影響. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:122-127.
58) 津田充宥、倉島由紀子 喫煙の生体内ニトロソ化反応に及ぼす影響 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:97-103.
59) 江角浩安、小倉 勤、倉島由紀子ほか 喫煙の生体内ニトロソ化反応に及ぼす影響. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:69-73.
60) 江角浩安、小倉 勤、倉島由紀子ほか 喫煙の生体内ニトロソ化反応に及ぼす影響. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:73-76.
61) 江角浩安、小倉 勤、倉島由紀子ほか 喫煙の生体内ニトロソ化反応に及ぼす影響. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:66-69.
62) 加藤博通、李 仁義、陳 昭蓉ほか たばこの煙における変異原性の発現とその抑制に関する研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:107-112.
63) 加藤博通、李 仁義、早瀬文孝ほか たばこの煙における変異原性の発現とその抑制に関する研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:55-60.
64) 加藤博通、李 仁義、早瀬文孝ほか たばこの煙における変異原性の発現とその抑制に関する研究-メラノイジンによるたばこ煙変異原性の抑制機構. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:60-68.
65) 加藤博通、岡本元一、早瀬文孝ほか たばこの煙における変異原性の発現とその抑制に関する研究-メラノイジンによるたばこ煙変異原性の抑制機構-. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:18-22.
66) グュエン・ヴァン・チュエン、早瀬文孝 メラノイジンの抗がん性に関する研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:11-14.
67) グュエン・ヴァン・チュエン、早瀬文孝 たばこの煙の変異原性と抗変異原性のバランスに関する研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:14-17.
68) 白須泰彦、原田孝則、榎本秋子ほか たばこ煙の生体に及ぼす影響に対する抗変異原物質投与の効果に関する研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:78-94.
69) 白須泰彦、原田孝則、吉田明由ほか たばこ煙の生体に及ぼす影響に対する抗変異原物質投与の効果に関する研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:113-119.
70) 白須泰彦、原田孝則、真板敬三ほか たばこ煙の生体に及ぼす影響に対する抗変異原物質投与の効果に関する研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:61-69.
71) 北沢利明、原田孝則、真板敬三ほか たばこ煙の生体に及ぼす影響に対する抗変異原物質投与の効果に関する研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:69-78.
72) 北沢利明、原田孝則、海老野耕一ほか たばこ煙の生体に及ぼす影響に対する抗変異原物質投与の効果に関する研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:23-30.
73) 北沢利明、原田孝則、真板敬三 たばこ煙の生体に及ぼす影響に対する抗変異原物質投与の効果に関する研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:15-22.
74) 山根靖弘、坂井和男 たばこタール成分とその関連化合物の生体作用に及ぼす金属化合物の効果. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:67-77,
75) 山根靖弘、坂井和男 たばこタール成分の生体影響に及ぼすメタロチオネインの抑制効果. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:124-130.
76) 山根靖弘、坂井和男 たばこタール成分の生体影響に及ぼす細胞質低分子成分の抑制効果. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:74-81.
77) 西本幸男、山木戸道郎、稲水 惇ほか 体細胞突然変異に及ぼす喫煙の影響について-喫煙者における末梢血リンパ球の突然変異頻度測定の試み-. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:228-232.
78) 西本幸男、山木戸道郎、石岡伸一ほか 体細胞突然変異に及ぼす喫煙の影響について並びに喫煙者のantioxidant活性について-健常喫煙者、健常非喫煙者及び肺気腫患者における血清antioxidant活性に関する研究-. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:70-75 .
79) 山木戸道郎、石岡伸一、粟屋幸一ほか 血清antioxidant活性(AOA)に及ぼす喫煙の影響について. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:136-145.
80) 山木戸道郎、前田裕行、石岡伸一ほか 血清antioxidant活性(AOA)に及ぼす喫煙の影響について. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:305-313.
81) 山木戸道郎、山木戸英人、石岡伸一ほか 血清antioxidant活性(AOA)に及ぼす喫煙の影響について-気管支肺胞洗浄液のantioxidant活性に及ぼす喫煙の影響について-気管支肺胞洗浄液のantioxidant活性、α1-PIに及ぼす喫煙とVitamin E欠乏の影響及び気管支肺胞洗浄液細胞成分及びSODに及ぼす喫煙の影響-. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:320-326.
82) 居石克夫、三村和雄 腫瘍の増殖、転移に対する喫煙の影響に関する研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:233-235.
83) 堀江 弘、高橋 淳、田丸淳一ほか 微量たばこ煙が生体に与える影響に関する実験病理学的研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:178-182.
84) 堀江 弘、三方淳男、田丸淳一ほか 微量たばこ煙が生体に与える影響に関する実験病理学的研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:144-148.
85) 堀江 弘、武内利直、田丸淳一ほか 微量たばこ煙が生体に与える影響に関する実験病理学的研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:97-100.
86) 三方淳男、武内利直、石井源一郎ほか 微量たばこ煙が生体に与える影響に関する実験病理学的研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:78-82.
87) 三方淳男、小高恵実子、武内利直ほか 微量たばこ煙が生体に与える影響に関する実験病理学的研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:53-59. 
88) 三方淳男、武内利直、黒須克志ほか 微量たばこ煙が生体に与える影響に関する実験病理学的研究-浸潤・転移に関わる接着分子のin vitro解析実験系確立の試み-. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:52-60.
89) 三方淳男、武内利直、古川留魅子ほか 微量たばこ煙が生体に与える影響に関する実験病理学的研究-浸潤・転移に関わる接着分子のin vitro解析実験系確立の試み-. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:51-58.
90) 原田孝則、北沢利明、海老野耕一ほか 化学発癌に対するストレスの影響に関する研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:169-178.
91) 原田孝則、北沢利明、木下三佳ほか 化学発癌に対するストレスの影響に関する研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:143-157.
92) 原田孝則、北沢利明、木下三佳ほか 化学発癌に対するストレスの影響に関する研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:165-174.
93) 原田孝則、北沢利明、木下三佳ほか 化学発癌に対するストレスの影響に関する研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:164-172.
94) 西野輔翼 ストレスによる発癌の促進に関する研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:165-168.
95) 西野輔翼 ストレスによる発癌の促進. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:138-142.
96) 西野輔翼 ストレスによる発癌の促進. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:159-164.
97) 西野輔翼 ストレスによる発癌の促進. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:158-163.
98) 榎本克彦、森 道夫 ストレス刺激によるLECラット自然肝がん発生の修飾. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:159-164.
99) 榎本克彦、森 道夫 ストレス刺激によるLECラット自然肝がん発生の修飾. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:132-137.
100) 榎本克彦、森 道夫 ストレス刺激によるLECラット自然肝がん発生の修飾. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:154-158.
101) 榎本克彦、森 道夫 ストレス刺激によるLECラット自然肝がん発生の修飾とストレス蛋白の関与. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:153-157.
102) 北村 旦、川野 潔 ラット、ハムスターの気管、ヒト気管の長期器官培養法によるBenzo(a)pyrene(BP)、DHPNのin vitro発がんの解析-ラット気管の長期器官培養法に関する研究-. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:32-36.
103) 北村 旦、伏見博彰、川野 潔ほか ラット・ハムスターの気管・ヒト気管支の長期器官培養 法によるBenzo(a)pyrene(BP)、DHPNのin vitro発がんの解析. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:83-87.
104) 北村 旦、伏見博彰、宮本 誠ほか ラット、ハムスターの気管、ヒト気管支の長期器官培養法による Benzo(a)pyrene、DHPNのin vitro発癌の解析. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:124-128.
105) 林  豊、石橋正彦、大和田英美ほか 肺癌の多発する沖縄地方の人の突然変異促進物質の研究(予報). 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:147-152.

*1横浜市立大学医学部・病理学第1