喫煙と妊婦・胎児

 

森 崇英*1
佐川典正*1

胎児の発育と成熟

1)胎児肺の成熟に及ぼすニコチンの影響

喫煙妊婦では、子宮内胎児発育遅延(IUGR)や早産が高頻度に発生する1)2)とされているが、非喫煙妊婦の早産例に比して新生児呼吸障害が少ないとの報告3)もあり、ニコチンが胎児肺の成熟過程に及ぼす影響については、十分には知られていない。この点に関して京都大学産婦人科の森らは「ニコチンの妊娠時母子循環動態に及ぼす影響とその拮抗物質の作用に関する実験的研究」(1986年~1988年度)のなかで妊娠家兎と妊娠ラットを用いて研究している。1986年度の研究31)では、妊娠家兎にニコチンを連日投与することにより、IUGR の発生と肺 surfactant 生合成の低下が生じたが、一方では、胎仔の慢性的ストレスにより血中に分泌増加したカテコラミンを介して、肺II型細胞よりの surfactant の分泌が亢進している可能性を示唆する成績が報告4)されている。また、1987年度には、胎仔肺の燐脂質代謝、特に phosphatidylcholine(PC)の生合成ならびに蛋白合成に関与するとされる vitamin B12(以下B12と略す)、および脂肪酸の代謝に影響を及ぼすとされる carnitine の両者を、妊娠ラットニコチン投与群とニコチン非投与群のおのおのに投与し、胎仔に及ぼす影響を検討した32)

その結果、ラットにおいてもニコチン投与により IUGR および肺蛋白量の低下がもたらされることが示された。また、ニコチン投与により、胎仔肺組織中での燐脂質合成も抑制されたが、蛋白合成の抑制のほうがより顕著であった。一方、B12 を投与すると、胎仔肺の蛋白合成は促進され、ニコチンと同時に投与したときにはニコチンによる蛋白合成阻害を緩和する作用もみられた。しかし、肺組織中総燐脂質量については、carnitine や B12 投与にても変化を示さず、B12 と carnitine を同時投与した場合にのみ、ニコチンの燐脂質合成抑制を緩和する傾向がみられた。carnitine と B12 をともに投与したときの胎仔肺組織中 PC、dipalmitoyl PC(DP-PC)、phosphatidylgrycerol(PG)濃度に及ぼす影響は複雑なものとなったが、これは、これらの物質が肺での燐脂質合成に影響を及ぼすだけでなく、蛋白合成にも影響し、また、母体側での脂質や蛋白質の代謝にも影響して、それらが相互に作用した結果であると考えられる。

1988年度の研究では妊娠ラットにニコチンとB12 をそれぞれ単独あるいは併用投与し、母体血、胎仔血、胎盤および胎仔肺組織中の B12、不飽和 B12 結合能(UBBC)、UBBC 中の B12 結合蛋白組成などに及ぼす影響を検討し、さらに、胎生期の肺の分化抗原と考えられている sialyl SSEA-1(SLX)の胎仔血中あるいは肺組織中濃度についても検討した33)。また、SLX については、ヒト羊水中濃度を測定し、胎児肺発育度の指標としての有用性についても検討した。

ヒト羊水中には高濃度の Transcobalamin I(TCI)が存在し、これが羊膜腔内での細菌感染防御作用を有する可能性についてさらに検討した。妊娠 19 週以前では TCI は低値で胎児の唾液腺由来と考えられる salivary type の amylase も低値であったが、妊娠 20 週以降両者は平行して増加した。すなわち、妊娠 19 週までの羊水中 TCI は主に羊膜に由来すると考えられるが、20 週以降は羊膜に加えて、胎児唾液腺由来の TCI が増加すると考えられた。同時に肺分化抗原のひとつである sialyl Le-i(SLX)抗原の羊水中濃度を測定したところ、肺胞形成期の妊娠 20 週前後ですでに高値を示し、活発な肺胞形成を反映していると考えられた。しかし、妊娠末期にはさらに高値となっており、胎児肺の容積拡大のみでは説明できない SLX の分泌機序が推定され、今後さらに検討を要すると考えられる。また、妊娠ラットへのニコチン投与により胎仔肺湿重量、総蛋白量ともに低下したが、これは、母獣への B12 投与により回復した。胎仔血中、肺および胎盤組織中の葉酸、ビタミン B12、蛋白濃度等の比較から、ニコチン投与による胎仔肺の発育抑制 には胎仔血中あるいは肺組織中でビタミン B12 を介した蛋白代謝の関与は少なく、慢性ストレス下でのカテコラミン分泌により生ずる血流の再配分等をも含めて、ほかの因子の関与についても検討する必要がある。ラット胎仔血中、胎盤、および肺組織中 SLX は妊娠初期の組織増殖と分化が盛んな時期に高値を示すが、胎齢とともに低下することが確認された。

2)新生児の肺発育に及ぼす喫煙曝露の影響

ヒトを含む大部分の哺乳動物では、主として胎児期の比較的早期に気道の分岐が完了する。また、正常な肺胞の 80% 以上は出生後に形成される。したがって、出生前(antenatal)および出生後(postnatal)における種々の内分泌学的障害、薬剤投与、妊娠時および若年者喫煙など種々の外因的刺激で肺の正常発達が著しく阻害される可能性がある。

1.ラット新生仔による実験

喫煙がヒトの antenatal および postnatal の肺の発達に大きく影響することはこれまでに主として疫学的見地から報告されているが、東京大学の福地らは、「肺の発育と喫煙に関する研究」(1986年~1988年)において、出生直後のラット新生仔を用いて肺の発育に及ぼす喫煙の影響を検討している34)-36)。Wister 系雄ラットを生後1週令より4週令まで週5日間、Hamburg II型喫煙装置を用いて1日当りハイライト 30 本を 15 分間喫煙させたのち、4週令にて肺を剔出し、空気注入圧量曲線、光学顕微鏡的組織計測を行った。喫煙群と対照群のあいだに、身体発育上に有意差は認められなかった。喫煙群で肺容量は 4.3% 減少していたが、肺容量/湿肺重量比は 13.4% 増加していた34)。圧量曲線は、肺容量実測値で示すと喫煙群は対照群よりも右方へ偏位したが、全肺気量比率で示すと、逆に喫煙群は左上方へ偏位しており、喫煙群で肺容量の減少と肺の弾性収縮力の低下が生ずることが示唆された34)。組織計測では、喫煙群で肺胞容積比率が小さく、肺胞壁、肺胞道間平均直線距離が大きく、肺胞表面積/容積の有意の減少がみられた。総肺胞数は喫煙群で約 30% 減少していた。しかし肺胞道の拡張は認められなかった。以上の成績から福地らは、幼若ラットを反復して喫煙に曝露すると、機能的には肺弾性収縮力の低下、形態学的には、肺胞壁の菲薄化、肺胞の拡張に加えて、著明な肺胞数の減少を引き起こすと報告している34)

2.ビタミンEの効果

以上のような肺胞の発育抑制や機能低下に関与しているものとしては、たばこ煙中に含まれる活性酸素やフリーラジカル、またたばこ成分によって活性化された炎症細胞由来の活性酸素やエラスターゼ等が考えられる。ビタミンEは抗酸化剤のひとつとして、特に生体膜等において、不飽和脂肪酸をフリーラジカルの攻撃と脂質過酸化反応から保護すると考えられているが、福地らは、新生仔肺の発育に及ぼす喫煙の影響に対するビタミンEの効果を3週令のラットを用いて研究した35)。3週令の Wister 系 SPF 雄ラットにそれぞれ、ビタミン欠乏食、ビタミン添加食、対照飼料を与えながら、Hamburg II型喫煙装置で1回 20 本のたばこを、最初の2日間は1日 30 分間、その後は1日 20 分間、計4週間(1週間に5日間)、曝露した。肺湿重量測定後、気管支肺胞洗浄(BAL)を施行し、液中の総蛋白質量、アルブミン量、エラスターゼ様活性、エラスターゼ阻害活性(EIC)、トリプシン阻害活性(TIC)を測定した。その結果、ビタミンE欠乏食群では、対照飼料群にくらべ、顕著な体重増加の抑制、肺重量の増加、BAL 液中のアルブミン量の増加、EIC/TIC の低下が認められ、ビタミンEの喫煙に対する保護作用、おそらくは、肺における活性酸素のスカベンジャーとしての作用が示唆された。しかし、ビタミンE添加群では、対照飼料群にくらべ、ビタミンEが喫煙に対する保護作用として働いているような知見は本実験からは認められず、ビタミンE投与量には最適値が存在する可能性が示唆された、と報告している35)36)

3)中枢神経系の発育に及ぼす喫煙の影響

胎児中枢神経系に及ぼす喫煙の影響について、東京医科大学産婦人科の高山らは、「喫煙の胎児中枢神経発育におよぼす影響」(1986年)のなかで検討している41)。糖は脳細胞の必須のエネルギー源であるが、胎児中枢神経の糖代謝に及ぼす胎児慢性低酸素症の影響を脳の発育がヒトの妊娠中期胎児のそれに相当するといわれるラット新生仔中枢神経において観察している。それによると、母獣ラットを妊娠 14 日目(GD14)より GD21 まで低酸素環境(12% 酸素 24 時間負荷)下においた群の胎仔の体重は対照群のそれと有意差はなかったが、低酸素負荷群の胎盤重量は増加していた41)。また、ニコチン単独負荷群およびニコチン+低酸素負荷群では体重、胎盤重量ともに減少した。さらに、低酸素負荷をそのまま生後7日目(ND7)まで継続した新生仔ラットの体重はいずれの群でも対照群にくらべ減少していたが、新生仔脳重量は 9.8% 酸素2時間 ×2回/日+ニコチン 0.02 mg/ml PO(経口投与)群のみが減少を示した。ND7 の新生仔脳組織への 2-Deoxy-D-14C-Glucose(2DG)の取り込みをオートラジオグラムで観察すると、12% 酸素 24 時間を GD14~ND7 のあいだ負荷した群、12% 酸素 24 時間を GD20~ND7 のあいだ負荷した群のいずれにおいても、対照群にくらべ多くの灰白質部や白質部で 2DG の取り込みが減少した。すなわち、低酸素負荷群では、胎仔発育低下と同時に脳における糖代謝も減弱している可能性が指摘された41)

4)ヒトにおける喫煙および受動喫煙の影響

1.胎児発育への影響

神戸大学産婦人科の望月らは、「喫煙の母子相関における臨床内分泌・代謝学的研究」(1986年~1989年)において、妊娠と喫煙をめぐる諸問題について、胎児発育、胎盤機能、母体代謝といった観点から多面的な検討を行っている37)-40)。喫煙本数 20 本/日以上のいわゆる heavy smoker 母体よりの新生児では、非喫煙妊婦からの児にくらべて平均 290 g 体重が少なかった。これらの heavy smoker 妊婦では血中 hPL 値や尿中エストリオール(E)値低下、胎盤血流量の指標である DHA-S からエストラダイオール(E)への転換率の明らかな低下などが認められたことから、喫煙によって胎盤機能の低下が惹起されていることが示唆され、実際にこれらの妊婦の胎盤組織像においても絨毛の萎縮、細硬化変性といった所見が認められたとしている40)。また、妊婦を対象に行ったアンケート調査では、家庭内外での受動喫煙をまったく自覚しない妊婦はわずか 14.8% にしかすぎなかった39)。さらに、母体あるいは新生児の血中および尿中コチニン濃度のうち、喫煙曝露に関するアンケート調査の結果と最も相関したのは母体尿中コチニン濃度であった。また、妊婦の自覚する受動喫煙の程度は母体尿中コチニン濃度の上昇とよく相関し、特に家庭内外で強い受動喫煙を自覚した妊婦では喫煙妊婦と変わらない尿中コチニンレベルを示したことから、母体喫煙被曝すなわち受動喫煙(passive smoking)の客観的評価にニコチン代謝産物であるコチニンの母体尿中濃度測定が有用であると報告している39)

つぎに、新生児体重は、母体尿中コチニンが 9 ng/ml を越えるものでは有意に低下する傾向が認められ、母体尿中コチニンレベルの上昇すなわち喫煙への被曝機会の増加は児の発育に対し明らかに抑制的に作用すると考えられた。一方、母乳中にもコチニンの排泄が認められ、特に喫煙妊婦からの母乳には 73.3±17.5 ng/ml と非喫煙妊婦の値(12.97±0.33 ng/ml)にくらべ、きわめて高濃度のコチニンが検出された。また受動喫煙に曝されている授乳婦人の母乳にもコチニンが存在し、その濃度は母体の受動喫煙の増加につれて上昇した。以上の結果より、妊婦の喫煙に関して本人の喫煙はもとより受動喫煙についても十分な注意を払う必要性が明らかとなった39)。また、母体喫煙被曝の影響は母乳にも及んでおり、胎内のみならず生後の児の喫煙被曝についても十分考慮する必要があると思われる。

2.胎児奇形との関連性

従来より飲酒と胎児奇形の関係は指摘されている5)が、わが国ではこの点に関する報告は多くない。また、喫煙と胎児催奇形性の関連については否定的な見解が多いが、まだ論議が残るところである6)。東海大学の岡崎らは、「妊娠中の喫煙・飲酒習慣の鎖肛・巨大結腸など新生児疾患への影響に関する研究」のなかで、母体の喫煙・飲酒習慣と奇形児の出産との関連について、東海大学病院産科を受診した妊婦を対照として疫学調査した42)43)。調査対象は1990年1月1日より1992年12月31日まで東海大学病院産科で扱った出産のうち、多胎児・人工受精児・死産児を除いた新生児 1,789 名とその母親であるが、新生児 1,789 名中奇形児は 63 名であった。対照群としては健康な新生児を出産した母親のなかから、奇形児の2倍の人数を、年齢、分娩日、出産順位をマッチさせて抽出した。奇形児 63 名のうち喫煙・飲酒習慣について調査できた 52 名の母親についてみると、喫煙習慣は妊娠前に1日 11 本以上を喫煙していた者が 13.5%、飲酒習慣は妊娠前からの全経過飲酒していた者が 9.6% であった。対照群の前者 6.7%、後者の 4.8% にくらべて有意差はみられなかったが、いずれも2倍多かった。奇形児 63 名の奇形内容は多臓器を含めて延べ 92 例で、調査できた 78 例のうち鎖肛と巨大結腸は各1例であった。なお、喫煙・飲酒習慣と発生臓器の関係についてみると、喫煙では神経系4例、泌尿生殖系奇形5例、飲酒では心血管奇形7例、神経系奇形6例などが高い頻度でみられた。逆にいうと、多臓器奇形を含めた総奇形数のうち、16.7% は喫煙習慣と関連し、24.4% は飲酒習慣と関連していた43)

妊婦および胎児の循環動態および血液凝固能

1)子宮内血流量の意義

妊娠は、受精卵が脱落膜化した子宮内膜とのあいだに生物学的な相互関係を確立すること、すなわち着床によって始まるが、引き続き妊娠が維持されて、胎児が正常な発育を遂げるためには、母児の接点である胎盤が形成されたのち、正常に機能して、母体側から胎児側への必要かつ十分な栄養物質や酸素の供給が行われなければならない。このような、母児間の栄養物質の輸送やガス交換は、絨毛間腔の母体血と胎児臍帯動脈血とのあいだで行われるが、両者のあいだには、Syncytiotrophoblast のほかに、絨毛血管内皮が介在する。したがって、妊娠を維持し、胎児を正常に発育させるためには、母体側の絨毛間腔への血流量が十分に増加し保持されているだけでなく、胎児側でも絨毛細胞と絨毛血管両者が十分に発達し、また胎児側の胎盤血流量も保たれていなければならない。すなわち、これらいずれの側の循環が障害されても子宮内発育遅延(intrauterine growth retardation : IUGR)が発生する。

2)血流量の測定法

妊娠中毒症など実際の臨床症例においては、従来は、全身血圧の高低(高血圧の程度)で子宮胎盤循環の障害程度を間接的に推定するしか方法がなかったが、最近では超音波パルスドップラー法を用いて子宮動脈や臍帯動脈などの血流速度波形を解析し、systolic / diastolic ratio(S/D比)、pulsatility index(PI)、 resistance index(RI)など各種の index をもとめて、測定部位より末梢側の循環動態が正常か否か(血流障害の程度)を推測しようとする試みも行われている。血流量の測定法としては最高血流速度と血管断面積の積としてもとめる方法が従来から提唱されているが、子宮動脈や臍帯動脈などでは十分な大きさがなく、また拍動しているため断面積の計算が不正確となり、この方法は適用できない。京都大学の森らは1989年度の研究で、従来の循環動態の評価法に代わって、超音波パルスドップラー法におけるドップラー音を、音の高さと強さに分けて積算定量化することにより、子宮動脈や臍帯動脈などにも適用できる、新しい血流量の定量法を開発することを試みている44)

本方法はドップラー音を周波数解析し、その周波数ごとの信号量として積算するので、血管断面積を算出する必要がなく、子宮動脈など細い血管にも適用できる。体外循環系を用いた実験でも、血流量と測定値とのあいだには良好な直線性が見られた。ただし、測定対象ごとに変化する定数kを含んでいるので、現段階では、測定値をそのまま生体における血流量の絶対値として使用することはできない。今後は、あらかじめ体外循環モデルを用いた測定系で定数kを消去するなどにより、生体での実用化が期待される。もうひとつの臨床応用法としては、この方法によって得た流量をもとにして血流量の pulsatility index(PIQ)を算出する方法がある。従来のPIは最高血流速度を用いているので、心拍数や血圧が変化すると血流動態を正確に反映しない場合があるが、この PIQ では最高流速の PI(PIV)よりも正確に胎児の循環動態を把握することができると考えられる。実際、京都大学の Okagakiらは、この方法を用いて IUGR における胎児下行大動脈の PIQ を算出し、同時に測定した PIV よりも IUGR との相関が高かったと報告している7)

3)血流量の修飾因子

1.ニコチン

喫煙妊婦では胎児発育遅延(IUGR)が発症しやすいことが知られているが1)2)、これにはニコチンがプロスタサイクリンの産生を抑制することや、ニコチンがα-受容体を介して血管を直接的に収縮することにより、子宮胎盤領域の血流量を減少させ、IUGR の発症要因として重要な役割を果たしている可能性が報告されている8)-10)

2.血管作動物質

正常妊娠においては、アンギオテンシンIIなどの昇圧物質に対する血管壁の感受性が妊娠によって低下する(昇圧物質に対する不応性を獲得する)ため、血管抵抗が減少し子宮胎盤への血流量が増加するが、高血圧を主徴とした妊娠中毒症では、このような不応性が消失もしくは減弱しており、そのために子宮胎盤血流の適切な増加が起こらず、胎児発育遅延が生じ、重症化すれば胎内死亡を惹起するに至るものと考えられている11)。そして、この血管壁の不応性の成立や破綻には、プロスタグランデイン系、レニン-アンギオテンシン系、キニン-カリクレイン系などのさまざまな血管作動物質が複雑に関与していると考えられている12)

3.エンドセリン

血管内皮細胞から分泌されるエンドセリン(ET)は強力な血管平滑筋収縮作用を有していることから、血圧調節機序にも何らかの形で関与している可能性が推測されている13)が、京都大学の森らは、1990年度の研究で胎児発育遅延(IUGR)や妊娠高血圧(妊娠中毒症)の病態と ET との関連を検討するために、正常ならびに各種合併症妊娠における母体血中および臍帯血中の ET-1 様免疫活性(ET-1-LI)を測定比較している45)

 正常妊婦血中の ET-1-LI は非妊婦人の血中値と比較して有意差を認めなかったが、臍帯静脈血中の ET-1-LI は母体血中の値より高値であった。一方、妊娠中毒症(軽症)妊婦の血中 ET-1-LI は正常血圧群の値に比して有意の高値を示し、かつ、高血圧が重症化すると ET-1-LI はさらに増加した。しかし、慢性高血圧合併妊娠でも、高血圧が悪化しなかった症例の ET-1-LI は正常血圧群の値とのあいだに有意差を認めなかった。これらの結果は、妊娠経過中に何らかの原因で血管内皮細胞の損傷が生じるような場合に、ET の産生・分泌の亢進が起こることを示唆している45)。今後は、妊娠中毒症合併妊婦の血液中に血管内皮細胞からの ET 分泌を刺激する因子が存在するか否かなどについても検討する必要がある。

4.ナトリウム利尿ペプチド

心臓から分泌されるナトリウム利尿ペプチドは、エンドセリンとは逆にナトリウム利尿作用や平滑筋の弛緩作用を有しており、成人の高血圧に際して循環動態の恒常性を維持する方向に作用していると推測されている14)。京都大学の森らは、1991年度の研究でこれらのナトリウム利尿ペプチドのうち atrial natriuretic peptide(ANP)と brain natriuretic peptide (BNP)が子宮-胎盤-胎児循環の調節にも関与しているか否かを明らかにするため、妊娠高血圧(妊娠中毒症)合併妊婦の静脈血中、および分娩時の臍帯動・静脈血中の ANP、BNP 濃度を測定し、母児の病態と比較検討している46)

 妊婦血中の ANP、BNP 濃度はともに非妊婦血中値より上昇する傾向を認めた。軽症妊娠中毒症においては正常妊娠末期に比して ANP は約 2.5 倍、BNP は約 1.5 倍の高値を示すにとどまったが、重症妊娠中毒症では BNP は約 10 倍と著しい高値を示した46)。妊娠末期正常分娩時に得た臍帯静脈血中 ANP 濃度は母体血中値に比して約 3.5 倍の高値を示したが、BNP は母体血中と同程度の値であった。重症胎児仮死例の臍帯静脈血では ANP は正常児の約4倍、BNP は約 12 倍高値を示した。このように、BNP は ANP とともに母体および胎児循環動態と密接に関連していると考えられる46)

4)赤血球のラジカル除去酵素の活性に及ぼす喫煙の影響

滋賀医科大学の石黒らは「妊婦喫煙の胎盤機能に及ぼす影響に関する臨床研究」(1986~1988年度)のなかで、妊婦の喫煙が胎児・胎盤機能に及ぼす影響を解明する目的で、喫煙妊婦と非喫煙妊婦の赤血球を対象として、glutathion peroxidase(GSH-PX)活性、superoxide dismutase(SOD)活性および glucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PDH)活性を測定した47)-49)。GSH-PX および SOD はいずれも peroxide radical の scavenger 作用を有する酵素であり、また G6PDH は NADPH を供給することによりメトヘモグロビンをヘモグロビンへ還元する作用をもった酵素であるが、喫煙妊婦では非喫煙妊婦に比して GSH-PX と G6PDH による HO 除去作用および G6PDH によるメトヘモグロビン還元作用が非喫煙妊婦よりも高まっていることが推測された47)。これに対し、SOD 活性は非喫煙妊婦よりも喫煙妊婦において低い傾向にあった。すなわち、喫煙妊婦では SOD による O- 除去能力が低下していると考えられた。さらに、これらの酵素活性には妊娠時期による変動があり、喫煙妊婦における GSH-PX および G6PDH 活性の上昇は胎盤完成前の妊娠初期にかぎられたものであった。喫煙妊婦の両酵素活性は、胎盤完成後は妊婦の進行とともに低下し、妊娠末期には非喫煙妊婦とほぼ同じレベルに達することが明らかにされた。すなわち、母体の赤血球に含まれるこれらの酵素は、妊娠初期に radical scavenger として重要な意義を有しており、胎盤完成後は胎盤自身の radical scavenging 作用が増加し、これによって胎児を保護するものと推測される47)

5)妊婦・胎児の止血機能に及ぼす喫煙の影響

妊婦喫煙が妊婦や胎児の止血機能に及ぼす影響を検討するため、滋賀医科大学の石黒らは、1987年度の研究48)で、喫煙妊婦と非喫煙妊婦の止血機能を比較している。まず、血小板系では、喫煙妊婦の血小板数は非喫煙妊婦の同値よりもわずかに多い傾向を認めたものの、出血時間は正常に保たれていた。この血小板増加は、喫煙による低酸素血を代償するための多血症によるものと推測された。したがって、血栓形成のリスクが喫煙妊婦では高いと考えられた48)。つぎに凝固系については、APTT、PT、PIVKA II は喫煙妊婦と非喫煙妊婦のいずれにおいても全例が正常でしかも両者に差を認めなかった。これに対し喫煙妊婦のフィブリノーゲン値はやや低く、AT III 活性はやや高かった49)。フィブリノーゲンの低下は血栓形成リスクを下げるための代償作用と推測され、また AT III 活性高値の原因は不明であるが、凝固因子を阻害しフィブリノーゲンをこれ以上凝固させないためとも考えられた。最後に線溶系検査では、喫煙妊婦においては異常を認めなかった。

これらの成績から、喫煙妊婦では血栓形成のリスクが高く、凝固機能は不良で易出血性という好ましくない状態にあることが示された。しかし、喫煙妊婦の止血機能は全体としてはおおむね良好に保たれていると考えられた。すなわち、これら凝固、線溶系に対する喫煙の影響が軽度にとどまっていることを示している。

胎盤機能

1)胎盤ホルモンの分泌

胎盤絨毛細胞(trophoblast)は妊娠の成立および維持に関して、ガス交換、栄養や免疫物質の移送、母体胎児循環の調節、内分泌臓器としての各種ホルモンの分泌など、多彩な役割を担っていると考えられている。京都大学の森らは、1990年度の「妊娠の維持ならびに胎児の発育に及ぼす喫煙の影響に関する研究」において、ヒト胎盤から採取した cytotrophoblast を用いてその培養系を確立し、trophoblast 機能に対する低酸素条件、エンドセリン(ET)およびニコチンの影響をヒト胎盤ゴナドトロピン(hCG)産生の点から検討している45)

高濃度ではあるがニコチン添加によって培養 trophoblast 細胞からの hCG 分泌の抑制効果が示唆された。ET 添加でも hCG 分泌が低下する傾向がみられた。したがって、妊娠中毒症などで胎盤局所の ET 濃度が増加する条件下では、絨毛細胞での hCG 分泌が抑制される可能性がある。また、低酸素条件下では hCG 分泌が抑制されたが、酸素濃度を元に戻すと hCG の分泌量も回復した。低酸素条件によって細胞の活性が低下している可能性もあるが、酸素濃度を元に戻すと hCG の分泌も回復したことから、低酸素条件下では絨毛細胞が増殖の方向へと変化しているために、hCG の産生が一時的に抑制されているだけであるという可能性も考えられる45)。この点については、trophoblast の増殖と機能分化という観点から今後さらに検討する必要がある。

2)エンドセリン代謝

ついで、1991年度の研究では胎児発育遅延(IUGR)や胎児仮死(fetal distress)など循環障害を伴った胎児において、エンドセリンの代謝がどのように変化しているかを検討した。さらに、胎盤におけるエンドセリン代謝と ET の作用機序を解明する一助として、胎盤組織中のエンドセリンの濃度と分子種、および胎盤の ET 受容体(ETR)について検討した46)。胎盤組織中には高濃度の ET-1 が存在し、しかも、胎盤には ETR が2種類(ETARとETBR)存在することが判明した46)。さらに、妊娠中毒症では、胎盤組織中のETBRの数が減少する傾向が認められたが正常妊娠とくらべて有意ではなく、また受容体の affinity も変化しなかった46)。ET には平滑筋収縮作用13)のほか、細胞増殖15)やホルモン分泌調節作用16)なども知られているので、今後、trophoblast の増殖や機能発現に対する ET の作用機序を解析することによって、胎児胎盤系における ET の役割がさらに明らかにされるものと期待される。

3)胎盤蛋白

胎盤の機能としては、上記の栄養物質の輸送のほかに、各種ステロイドホルモンや絨毛性ゴナドトロピン、胎盤性ラクトゲンなどの蛋白ホルモンの産生と分泌がある。さらに、胎盤が産生する蛋白が最近つぎつぎと同定され、それらの生化学的性質が明らかにされてきている。これらの新しい胎盤蛋白(PP)のうち、PP5 は分子量 36,000 dalton で 19% の糖を含有するβ-1 グロブリンであることが知られている。その絨毛内局在は合胞細胞であり、妊娠中にトリプシンやプラスミン活性を抑制する作用や血小板凝集促進作用があると報告されている。東京医科大学の高山らは、「胎盤蛋白(PP)に及ぼす喫煙の影響」(1986~1988年度)のなかで胎盤が産生する各種の蛋白について喫煙の影響を検討している41)50)51)

まず、妊娠ラットに低酸素負荷あるいは喫煙負荷を行って、胎盤蛋白の一つである SP1 産生能に対する影響を検討したところ、妊娠 21 日目のラット胎盤には対照群で 0.96±0.19 ng/胎盤の SP1 を含有していたが、低酸素負荷群、ニコチン併用または単独負荷群ではいずれの群も含有量は減少を示した41)。酵素抗体法によりラット胎盤の SP1 組織局在を観察すると、SP1 は迷路(labyrinth)や脱落膜には認められず、basal zone の giant cell の細胞質に認められたが、低酸素負荷群やニコチン併用または単独負荷群では全体的に染色性の減弱が認められ、組織内濃度の変化と一致した成績が得られている41)

つぎに、胎盤蛋白の一つである PP5 については、妊娠各期の母体血清中の濃度を測定し、各種病態との比較を行っている。妊娠母体血清 PP5 濃度は正常妊娠では中央値(M)が妊娠6~7週で 2.9 ng/ml であったが、妊娠の進行とともに漸増し、妊娠 38~39 週にて 48.0 ng/ml となり、以後減少した50)。喫煙妊婦 18 例の PP5 値はすべて正常妊婦の中央値より高値であった。またそのほかの妊娠合併症では双胎妊娠、在胎週数に比して大きな児(large for gestational age ; LGA)、子宮内胎児発育遅延、前置胎盤などでは PP5 値との関連は認めがたいが、切迫流早産予後不良群、胎内死亡は PP5 低値傾向を示し、高血圧主徴型重症妊娠中毒症は高 PP5 値を示す傾向があった50)。免疫組織化学的観察では、正常満期胎盤の絨毛 Syncytiotrophoblast(S細胞)と基底板X細胞の細胞質に PP5 が染色されたが、比較に用いた SP1 はS細胞に染色されるがX細胞には染色されなかったことから、X細胞は母体由来の細胞であるが、絨毛S細胞と異なる代償機能をもっていると考えられる。

喫煙妊婦胎盤には合胞体結節(syncytial knots)や突起(sprouts)の増加が認められ、それらの細胞質には SP1 と同様 PP5 も局在が認められた。また、妊娠 27 週で早産した喫煙妊婦の胎盤で血管合胞体膜(vasculosyncytial membrane)の減少が認められた。PP5 は protease inhibitor であり、血小板凝集促進作用があることを考慮すると、喫煙妊婦血清中の PP5 濃度が高値を示したことは、胎盤局所のみでなく血液凝固系でも変化が起こっている可能性を示唆する50)。さらに、高山らは PP1、PP19、PP21 についても1988年度の研究で喫煙との関係を報告している51)。PP1 は絨毛 cytotrophoblast(C細胞)の細胞質と核に免疫染色され、侵入奇胎、絨毛癌でもC細胞および intermediate trophoblast(IT)に染色性を認めた。PP19 は絨毛S細胞の細胞質のみならず核にも強陽性に染色するため、核染色しない SP1 との鑑別が容易である。PP19 は血清中への分泌性は低いが、侵入奇胎、絨毛癌細胞にも同様に染色されることから、遊走C細胞、IT の組織学的マーカーとしての有用性が高い。PP21 は絨毛のS細胞、C細胞の細胞膜および基底膜に局在することから、膜関連抗原と考えられるが、侵入奇胎、絨毛癌のS細胞、IT 細胞にも局在を認めた。しかし、胞状奇胎の PP21 の血清濃度は正常妊娠血清濃度にくらべ差がなかった。すなわち、PP19、PP21 いずれについても、血清値を胎盤代謝機能の指標として用いることは PP5 にくらべ難しいと考えられた51)

妊娠維持機構

1)子宮筋収縮調節

妊娠中には子宮筋は弛緩伸展し、妊娠後期には子宮内容積は3~5Lにもなるが、通常子宮収縮は起こらない。しかし、胎児が成熟する妊娠末期になると陣痛が発来し、分娩に至る。また、喫煙妊婦では早産が多いとされるが、喫煙妊婦の早産児では胎児肺の成熟度が非喫煙妊婦の早産児より進んでいるとの報告もある3)。このようにヒト妊娠子宮には、胎児成熟と連関した合目的的な子宮筋収縮調節機序が存在すると推定されるが、その詳細は明らかでない。

ヒト羊水中へ prostaglandin(PG)の前駆体であるアラキドン酸を投与すると陣痛が発来することや、陣痛発来時に羊水中のアラキドン酸濃度が特異的に増加することが MacDonald および Johnston らによって報告17)されて以来、ヒトの陣痛発来には、羊膜、絨毛膜あるいは脱落膜で産生される PG が中心的役割を果たしていると考えられている。しかし、生体内ではアラキドン酸は通常燐脂質の sn-2 の位置にエステル結合されているので、そのままの形では PG 生合成の基質になり得ず、種々の酵素によって燐脂質から遊離される必要がある。卵膜および脱落膜組織における遊離型アラキドン酸の生成機序についての基礎的な検討の結果、ヒト羊膜でのアラキドン酸の遊離には phospholipase A(PLA)、phospholipase C(PLC)、diacylglycerol lipase (DG lipase)、diacylglycerol kinase(DG kinase)など多数の酵素が関与することが明らかにされている18)-22)。これらのうち PLA、PLC は Ca2+ に依存性を示す。一方、羊膜細胞には強力なCa2+ ionophore 作用を有する血小板活性化因子(PAF)産生の key enzyme であるacetyltransferase 活性が存在することも知られている23)。しかし、これらの酵素活性が胎児の成熟とどのように連関して調節されているかはまだ明かでない。京都大学の森らは、「妊娠維持機構における羊膜ならびに脱落膜細胞の役割とそれに及ぼすニコチンの影響に関する研究」(1992~1993年度)において、最近細胞内情報伝達機構のひとつとして注目されている phospholipase D(PLD)活性が羊膜組織にも存在するか否か、およびその生化学的性質について検討している52)53)。その結果、羊膜組織には Ca2+ 非依存性で不飽和脂肪酸要求性の PLD が存在することが明らかになった。この PLD の至適 pH は 5.5 で、膜分画に大部分の活性が存在し、phosphatidylcholine に基質特異性を示した。羊膜 microsome 分画の PLD 活性は、妊娠中期より妊娠末期のほうが有意に高値を示した52)。また、この羊膜細胞の PLD 活性は、protein kinase C(PKC)および calcium ion(Ca2+)により調節されていることが判明した。さらに、phospholipase C(PLC)やアラキドン酸の添加によっても活性化されたことから、羊膜細胞のホスホリパーゼ間には cross talk が存在することが示唆された53)。また、PLD の第1産物であるホスファチジン酸(PA)を培養羊膜細胞に添加すると、培養液中へのprostaglandin E(PGE)放出が濃度依存的に増加した。すなわち、羊膜細胞に存在する PLD は、羊水中に存在する各種の生理活性物質により、PKC あるいは Ca2+ influx を介して活性化され、PGE 産生を増加させるという形で陣痛発来に関与している可能性が示された53)。今後、羊水中の物質による羊膜細胞 PLD の活性化機構および PA の作用機序を検討することによってヒトの妊娠維持機構の詳細が明らかになると期待される。

2)エンドセリンおよびナトリウム利尿ペプチドの産生調節

これまでは子宮筋の収縮という観点から論じてきたが、妊娠中の子宮筋は肥大(hypertrophy)し伸展した状態で、収縮が抑制された状態であるといえる。妊婦および胎児血中には、向平滑筋作用を有する endothelin(ET)や brain および atrial natriuretic peptides(BNP、ANP)が存在すること、さらに、妊娠中毒症や胎児仮死などに際してはこれらのペプチドが著増し、母児の循環調節に関与していることが知られている24)-27)が、ET には強力な平滑筋収縮作用13)が、逆に BNP、ANP には平滑筋弛緩作用14)があり、これらのペプチドが妊娠子宮筋の収縮や弛緩にも関与している可能性が考えられる。京都大学の森らは1992~1993年度の研究で、これらの向平滑筋作用を有するペプチドが妊娠子宮内で産生されているか否かを検討し、さらに、これらのペプチドの産生に対するニコチンの影響についても検討した52)53)。その結果、羊水中には母体血中濃度の数倍高濃度の ET-1 が存在し、しかも妊娠末期に増加することが判明した52)。羊膜細胞の培養系を用いた実験から、この ET-1 は羊膜細胞に由来すると考えられた。また、妊娠中期の羊水中には、きわめて高濃度(母体血中の 30 倍)の BNP が存在したが、妊娠末期には中期の約 1/3 に低下した52)。妊娠中期の羊膜組織から抽出した total RNA を用いた Northern blot 解析では BNP mRNA が認められたが、妊娠末期の羊膜組織には BNP mRNA が検出されなかった。また、羊膜細胞培養上清中には羊水中と同程度の BNP が分泌された。さらに、培養羊膜細胞には PCR 法にて BNP mRNA が検出され、羊水中の BNP が羊膜細胞に由来することが確認された28)52)。一方、培養羊膜細胞にニコチンを添加しても ET および BNP の産生分泌は影響されなかった52)。しかし、培養羊膜細胞における ET-1 の産生は TGF-β、EGF、IL-1 および TNF-αによって促進された。また、BNP の産生は TGF-βによって促進されたが、cortisol および EGF により著明に抑制された53)。ET および BNP の受容体について検討した結果、絨毛膜、脱落膜には主に ET-BR が、子宮筋には ET-AR が発現していた29)。さらに、BNP 受容体である膜型 guanylate cyclase(GC-A)は、脱落膜および子宮筋に発現していた30)。以上より、胎児成熟にともなって羊水中に増加する cortisol や EGF を介して羊膜における ET-1 および BNP 産生が調節されており、それらは脱落膜や子宮筋の受容体を介して妊娠の維持に関連した何らかの生理作用を発揮する可能性が示唆された。

女性性機能(下垂体・卵巣・子宮内膜)

1)排卵・性周期に及ぼすニコチンの影響

下垂体および卵巣は、婦人の生涯における成長、生殖、老化に関して中心的役割を果たしているが、これらに及ぼす喫煙の影響についてはあまり知られていない。また、喫煙の子宮内膜に及ぼす影響についても、喫煙婦人では子宮体癌の発生が低いとの報告もあるが、詳細は明らかでない。関西医科大学の椹木らは「喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響」(1986~1990年度)において、これらの女性性機能に及ぼす喫煙の影響について検討している54)-58)

まずラットにおいて、ニコチン(1μg, 10 μg, 20 μg)、コチニン 10 μg、カフェイン 1mg および生理食塩水を連日腹腔内投与したところ、いずれの群においても性周期が変動し、ついには恒常的発情期(constant estrus)を呈したが、ニコチン 10 μg 投与群で最も早く constant estrus が出現した。しかし、プロラクチン(PRL)値には変化が見られなかった。一方、エストロゲンやニコチンの代謝臓器である肝細胞の培養系にニコチン添加を行ったが、きわめて高濃度(10-3M)でのみ超微形態学的に細胞障害を呈し、10-4M~10-5M ではほぼ正常所見を呈した54)

このようなニコチンの影響が下垂体、卵巣のいずれを介したものであるかを明らかにするため、下垂体摘除および卵巣摘除ラットを用いてニコチンの投与を行った。雌ラットに対しては、ニコチンは正常性周期においては一過性のエストロゲン(E)上昇後 constant estrus を出現させるが、下垂体摘除ラットには排卵周期を発来させなかったことから、ニコチンは、間脳ー下垂体系を通じて卵巣機能に影響すると考えられた55)56)。しかし、卵巣自体への直接の作用がなお明らかでないため、下垂体機能を抑制して性機能をおさえる LH-RH アゴニスト(ブセレリン)をラットに投与し、休止期を持続させたあと HMG-HCG 投与により過排卵を誘起させ、これに及ぼすニコチンの効果をみたところ、排卵数は、ニコチンの投与量に比例して減少し、光学顕微鏡的には間質腺の萎縮と黄体数の減少がみられ、電子顕微鏡的にも間質腺の分泌顆粒の減少、脂質顆粒の増加がみられた56)。一方、子宮内膜においても、やはりニコチンの投与量に応じて間質におけるコラーゲンの増生が認められた。一方、ニコチンの単独投与においても、性周期は constant estrus をきたす事実もあわせて考慮するならば、ニコチンのラット性機能への影響は、下垂体性ゴナドトロピンの卵巣に対する作用に何らかの影響を与えるだけでなく、卵胞自体にも作用して排卵数を減少させるなど抑制的に働くものと考えられた55)56)

ついで、この排卵抑制の詳細をさらに追求する目的で、卵胞期後期および排卵期に採取したヒト卵巣顆粒膜細胞の単層培養系を用いて、in vitroでの顆粒膜細胞の増殖、および steroidogenesis に対するニコチンの影響を検討したところ、10-4M~10-6M のニコチンは、卵胞期、排卵期、それぞれの時期に採取した顆粒膜細胞の増殖に影響を与えなかった57)。また、10-6M のニコチンの添加では、超微形態学的所見には対照群とのあいだに差はみられなかった。さらに、ニコチンは testosterone から estradiol への転換を濃度依存性に抑制した。またその抑制作用は、卵胞期と排卵期では差がなかった。これらの結果より、ニコチンは卵巣顆粒膜細胞に直接作用し、細胞を傷害することなくアロマターゼ活性阻害により、estrogen の産生を濃度依存性に抑制すると考えられた58)

2)子宮内膜癌の発生に及ぼすニコチンの影響

喫煙が女性生殖器に及ぼす影響の一つに、喫煙婦人において子宮内膜癌の罹患率が少ないことが疫学上指摘されている。その機序については喫煙物質中のニコチンによる antiestrogenic な作用が考えられているが、いまだ十分に解明されていない。椹木らはニコチンの有する抗 estrogen 作用が子宮内膜癌発症にどのように関与しているかについて検討する目的で、estrogen receptor に対するニコチンの影響をラット子宮を用いて検討した58)。また、ニコチンの有する estrogen 産生抑制作用が、低 estrogen レベルにある閉経後婦人においても大きな影響を与えているかを検討するため、関西医科大学関連の健康診断センター受診者を対象に子宮体癌好発年齢における喫煙と血中 estrogen レベルとの関係を調査した58)

10 週令の雌 S.D. 系ラットを用い、各濃度に希釈したニコチンを2週間経口投与し、投与前後における血中 E値の変動および子宮内 ER につき検討したところ、2週間の短期投与では、ニコチンによる E値の低下は認められなかった。また子宮内 ER の affinity、quantity いずれに対してもニコチンは影響を与えなかった58)。一方、閉経後 10 年未満の健康な婦人(喫煙者 30 例、非喫煙者 40 例)を対象に、喫煙と内分泌環境の変化についての調査を行ったが、末梢血 E、 Pのいずれも喫煙、非喫煙のあいだに有意差は認めなかった。ただし、喫煙婦人の閉経年齢は非喫煙婦人のそれに比して有為に2~3年若かった58)。以上の結果より、閉経後の喫煙婦人における子宮内膜癌発症抑制にニコチンの抗 estrogen 作用は直接的にはあまり関与していないと考えられた。しかし、喫煙による早期閉経にはニコチンの抗 estrogen 作用が関係していると考えられ、子宮内膜癌の発育、増殖に関与するとされる estrogen の曝露から早期に離脱できるという意味では、喫煙が子宮内膜癌発症抑制 の一端を担っているともいえる58)

3)女性ホルモンの服用に伴う血栓症発症リスクの増加と喫煙の影響

喫煙婦人が経口避妊薬を服用する際の副作用としては血栓症発症リスクの増加が問題となるが、経口避妊薬に限らず骨粗鬆症に対しても estrogen 使用の増加が予想される現在、喫煙あるいは estrogen と血栓形成の関係は婦人科領域において早急に解明しなければならない問題といえる。最近、血栓形成に血漿中 Platelet- activating factor(PAF)ならびに PAF 代謝酵素である PAF-AH(acetylhydrolase)の関与が注目されているが、成熟雌ラットに estrogen を投与すると血漿中 PAF-AH 活性が低下することが報告されている。また、たばこ煙抽出物は in vitro で PAF-AH 活性を低下させるとの報告があることから、in vivo においてもたばこ煙抽出物が PAF-AH 活性を低下させる可能性がある。椹木らは1991~1993年度の研究で、血栓形成の視点から女性ホルモンならびに喫煙と PAF-AH 活性との関係を研究している59)-61)。成熟雌ラットにニコチン、たばこ煙抽出液単独投与を行い、血漿中の PAF-AH 活性の推移を検討したところ、有意の変動はみられなかった59)。この実験でラットに投与したたばこ煙抽出物の量は投与後のラットの反応をみる限り最大限量と思われ、たばこ煙抽出物は in vivo では PAF-AH にあまり影響を与えないものと考えられる。そこで、たばこ煙抽出液と estrogen を同時に投与した。7週令のラットでは estrogen 単独投与と estrogen とたばこ煙抽出液同時投与のあいだには有意差は認められなかったが、12 週令、14 週令と週令が増すにつれ有意差が顕著に現われ、estrogen による plasma PAF-AH 活性の低下がたばこ煙抽出物によって増強される傾向がみられた60)。一方、抗 estrogen 作用を有する progestin の単独投与では plasma PAF-AH 活性の上昇を認めたが、たばこ煙抽出液併用投与でも酵素活性は同様に上昇し、両者間に有意差は認められなかった。すなわち、たばこ煙抽出液は estrogen の PAF-AH 活性抑制作用を増強させるが、progestin の効果には影響を与えないと考えられた60)

また、加齢ラットではたばこ煙抽出物がestrogen の plasma PAF-AH 活性抑制作用を増強することが認められた61)。さらに、plasma PAF-AH 活性が低下した状態では、少量の PAF 投与でラットの死亡率が増加したことにより、経口避妊薬服用による血管障害発生のリスクに影響を与える重要な因子として、喫煙と年齢が重要であると考えられた61)。 estrogen および progestin の両者を含有する経口避妊薬では、progestin の plasma PAF-AH 活性に対する作用は estrogen 効果と拮抗しているように思われるが、estrogen と progestin の併用投与では、plasma PAF-AH 活性に対して estrogen 効果が progestin 効果より優位を示し、また、たばこ煙抽出液が estrogen 効果を増強するような結果を得た61)。このことは、progestin を含む経口避妊薬といえども、その使用にあたっては喫煙と年齢などを考慮しなければならないことを示唆していると考えられる。今後は高齢婦人の増加に伴い estrogen の使用がさらに増加すると予測される。したがって、血栓形成における estrogen や喫煙の影響をさらに詳細に解析するとともに、血栓発症の予防法や早期発見法についても研究を行う必要がある。

*1京都大学医学部婦人科学産科学教室

文献

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研究年報

31) 森 崇英、佐川典正、伴 千秋ほか ニコチンの妊娠時母子循環動態に及ぼす影響とその拮抗物質の作用に関する実験的研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:573-583.
32) 森 崇英、佐川典正、伴 千秋ほか ニコチンの妊娠時母子循環動態に及ぼす影響とその拮抗物質の作用に関する実験的研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:548-559.
33) 森 崇英、佐川典正、伴 千秋ほか ニコチンの妊娠時母子循環動態に及ぼす影響とその拮抗物質の作用に関する実験的研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:526-536.
34) 福地義之助、山岡 実、木田厚瑞 肺の発育と喫煙に関する研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:569-572.
35) 福地義之助、長瀬隆英、上嶋康秀ほか 肺の発育と喫煙に関する研究ービタミンEの影響. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:543-547.
36) 福地義之助、長瀬隆英、上嶋康秀ほか 肺の発育と喫煙に関する研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:517-525.
37) 望月眞人、上田康夫、出口正喜ほか 喫煙の母子相関における臨床内分泌・代謝学的研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:592-602.
38) 望月眞人、上田康夫、出口正喜ほか 喫煙の母子相関における臨床内分泌・代謝学的研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:566-573.
39) 望月眞人、上田康夫、森川 肇ほか 喫煙の母子相関における臨床内分泌・代謝学的研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:537-544.
40) 望月眞人、船越 徹、山崎峰夫ほか 喫煙の母子相関における臨床内分泌・代謝学的研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:569-578.
41) 高山雅臣、鈴木康伸、舟山 仁ほか 喫煙の胎児中枢神経発育に及ぼす影響. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:608-618.
42) 岡崎 勲、和田則仁、荒井正夫ほか 妊娠中の喫煙・飲酒習慣の鎖肛・巨大結腸など新生児疾患への影響に関する研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:707-713.
43) 岡崎 勲、横山譲太郎 妊娠中の喫煙・飲酒習慣の鎖肛・巨大結腸など新生児疾患への影響に関する研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:754-758.
44) 森 崇英、佐川典正、伴 千秋ほか 妊娠の維持ならびに胎児の発育に及ぼす喫煙の影響に関する研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:551-561.
45) 森 崇英、佐川典正、伊原由幸ほか 妊娠の維持ならびに胎児の発育に及ぼす喫煙の影響に関する研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:619-626.
46) 森 崇英、佐川典正、長谷川雅明ほか 妊娠の維持ならびに胎児の発育に及ぼす喫煙の影響に関する研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:599-607.
47) 松本治朗、竹中 章、石黒達也ほか 妊婦喫煙の胎盤機能に及ぼす影響に関する臨床研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:603-607.
48) 松本治朗、尾上敏子、石黒達也ほか 妊婦喫煙の胎盤機能に及ぼす影響に関する臨床研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:574-578.
49) 石黒達也、松本治朗、尾上敏子ほか 妊婦喫煙の胎盤機能に及ぼす影響に関する臨床研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:545-552.
50) 高山雅臣、井坂恵一、舟山 仁ほか 胎盤蛋白(PP)に及ぼす喫煙の影響. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:579-587.
51) 高山雅臣、井坂恵一、舟山 仁ほか 胎盤蛋白(PP)に及ぼす喫煙の影響. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:553-562.
52) 森 崇英、佐川典正、伊東宏晃ほか 妊娠維持機構における羊膜ならびに脱落膜細胞の役割とそれに及ぼすニコチンの影響に関する研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:687-696.
53) 森 崇英、佐川典正、伊東宏晃ほか 妊娠維持機構における羊膜ならびに脱落膜細胞の役割とそれに及ぼすニコチンの影響に関する研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:733-741.
54) 椹木 勇、中島徳郎、堀越順彦ほか 喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:584-591.
55) 椹木 勇、中島徳郎、堀越順彦ほか 喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:560-565.
56) 椹木 勇、中島徳郎、堀越順彦ほか 喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:563-572.
57) 椹木 勇、中島徳郎、堀越順彦ほか 喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響-特に下垂体(性腺)性器系を中心として-. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:562-568.
58) 椹木 勇、中島徳郎、堀越順彦ほか 喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:627-632.
59) 椹木 勇、中島徳郎、堀越順彦ほか 喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:608-614.
60) 椹木 勇、中島徳郎、堀越順彦ほか 喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響-女性における血栓症と喫煙、特に経口避妊薬、妊娠産褥に関連して-. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:697-706.
61) 椹木 勇、中島徳郎、堀越順彦ほか 喫煙、ことにニコチンの女性性機能と Reproduction に及ぼす影響-女性における血栓症と喫煙、特に経口避妊薬、妊娠産褥に関連して-. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:742-753.