各種疾患に関する疫学研究
常俊義三*1
はじめに
昭和25年以降のわが国の主要死因別死亡率の年次推移(図-1)をみると、結核の死亡率の急激な減少がみられ、脳血管疾患による死亡は昭和40年までは増加するが、昭和45年以降は減少している。悪性新生物による死亡率は徐々に増加し、その部位別死亡率(図-2)をみると、男女とも胃癌の死亡率が減少して、気管・気管支および肺癌の増加がみられている。これらの変化は医学・医療技術の進歩もさることながら、その主な要因は食生活を含む社会環境の変化によるものであると考えられている。
一方、わが国では平均寿命の急速な伸びに伴い「寝たきり老人」「痴呆性老人」の増加がみられ、これら障害者に対する社会的な対応の必要に迫られている。
財団創設以来行われてきた疫学研究は、前述のわが国の疾病構造の変化と人口の高齢化に対応し、疾病発生の因子の解明と予防を目的とするものであり、多くの分野で地域住民等を対象とした長期にわたる疫学調査(追跡・継続調査)が行われてきた。本項では、研究報告を悪性新生物に関するもの、循環器疾患に関するもの、その他に分けて述べることとする。
悪性新生物に関する疫学研究
喫煙と癌に関しては、1940年頃より多くの疫学研究が開始されている。既存の報告では、肺癌を主とする呼吸器の癌以外に、腎臓、膀胱、子宮の悪性新生物と喫煙の関係を指摘する報告もみられるなど、各種臓器との関係が指摘されている1)。
1)肺癌に関する疫学研究
多くの知見により喫煙と肺癌との因果関係は明らかであるが、わが国で急速に増加している肺癌は喫煙との関連性が少ないと考えられている腺癌であることから、肺癌の組織別にみた発症因子の検討、およびたばこ以外の食生活を含む環境因子についての検討の必要性が指摘されている2)。
1.居住地環境・大気汚染に関する研究
竹本ら7)-12)および片山ら13)は、1986年から1990年にかけ、埼玉県西部地区(川越、所沢、飯能市など8市、6町、1村、総人口約 127 万人)の1985・1986年度の肺癌死亡者 350 名、および一部地区の1987・1988年度の死亡者 215 名とその対照者(地区、年齢をマッチされた肺癌以外の死亡者)の家族(主として配偶者)に面接し、死亡者の居住歴、居住地の環境、喫煙歴、既往歴、食習慣等の調査を行った。またこの調査では、剖検、手術例については組織型を調査し、さらに肺組織が得られたものについては、病変のない部位の重金属(Fe,Cu,Ca,Mg,Zn, Ni,Co,Pb,Cr)の測定を原子吸光法により行っている。この結果、この地区の肺癌死亡者のうち男子では 60.3 %、女子では 62.8 %が移住者であり、定住者よりも移住者のほうが肺癌発生率が高いと予想されること、また移住者の前住地は男子では 72.6 %、女子では 63.0 %が東京都内、川崎市であること、死亡年齢は移住者のほうが若年にずれる(男子:1.8 歳、女子:5歳)ことが明らかにされた。喫煙については、喫煙率、喫煙指数とも肺癌群のほうが対照群より有意に高いが、定住者群と移住者群とのあいだには差がみられなかったことなどから、前住地の要因暴露(大気汚染、職業)が影響を与えている可能性が高いことが指摘されている。
肺組織の金属分析では、対照群の男子ではNiとCr、女子ではCrが定住者群よりも移住者群で高値であり、肺癌症例群では男女ともPbが定住者群よりも移住者群で高値である以外は両群のあいだに有意の差はみられなかった。
定住者について対照群と肺癌群を比較すると、男子ではNi、Crの値が肺癌群で高く、移住者並の値を示した。この理由は明らかでないが、局地的汚染の可能性が考えられること、また職業暴露の可能性があることを報告している。
職業曝露の可能性は、20 歳から 50 歳の職業調査で肺癌群では燃焼、機械製造・修理に関連する仕事に従事する者が多く、そのほかにクロム製造業、アスベスト、塵肺認定者が含まれ、これらの多くは、Crが単独、あるいはNi、Crともに数 10 倍高い例がみられることなどの調査結果に基づいている。
以上の結果は、肺癌発生の因子として喫煙以外に環境汚染および職業暴露による影響を無視できないことを明らかにしたものである。
さらに、竹本ら12)および片山ら13)は肺癌の発生に及ぼす大気汚染物質の影響を明らかにするため、喫煙および職業の影響を無視できる犬肺を対象とした研究を行っている。この研究では、1991年に川崎市で廃犬として処置された、年齢、飼育地区の明確な犬肺について、幼犬(0~2歳)、成犬(3~5歳)、老犬(6歳以上)に分け、飼育地区を住宅地区、商業地区、工業地区に区分し、肺の一定部位と病変が疑われる部位の病理組織標本を調査した。肺の汚染度、肺の腫瘍性病変および肺の病変のない部位の金属(Fe,Cu,Ca,Mg,Zn,Cd,Ni,Co,Cr,Pb)の分析を行い、1975~1980年に川崎市の廃犬1,000余匹について行った調査の成績と比較している。1991・1992年の調査で検討された対象犬数は224匹であった。
1975~1980年の調査では、各地区とも年齢を経るにしたがい肺の汚染度が増加し、成老犬では住宅地区と工業地区とで肺の汚染度に差がみられた。1991・1992年の調査では、年齢が経るにしたがい肺の汚染度は進行しているものの、前回の調査に比べその程度は軽減していた。
すなわち、幼犬では3地区とも無汚染肺が増加、成犬では住宅・商業地区で汚染度の軽いものが増加、老犬でも同様に汚染度の軽減がみられた。工業地区で汚染度の強いものがみられたが、概して地区間の差は少なくなり、また、住宅地区についてはとくに地域間の差が大きく、商業地区に比較して高度汚染肺が多い傾向さえみられている。
肺内の重金属については、Cr,Ni,Cd,Pb,Coが年齢とともに高くなり、工業地区の値は他の地区にくらべ有意に高かった。1991・1992年の調査では、工業地区の老犬のCr、Niが他の地区より高い値を示す以外に地区間の差がみられるものはなかった。
肺の腫瘍については、1975~1980年の調査では 1,000 匹中良性腫瘍7例、悪性腫瘍7例(計 14 例)がみられ、悪性腫瘍はいずれも高度汚染肺にみられている。1991・1992年の調査では、224 匹中良性腫瘍1例、悪性腫瘍1例で、いずれも工業地区の老犬にみられている。これらの結果について竹本らは、固定発生源による大気汚染の低減化、各地区の大気汚染の差の縮小を反映したものとしている。
この報告は、わが国の大気汚染の現状を反映したものであり、固定発生源から移動発生源へ、産業型大気汚染から生活型大気汚染へという発生源の変遷に伴い、大気汚染の質の変化が生じていることを示唆している。また人の発癌については、発癌物質暴露から発症までの期間が長く、現在の大気汚染物質中には多くの発癌物質が含まれていることを考えると、肺癌増加の要因として環境汚染物質のかかわりは無視できないものであり、今後の動向を注目する必要がある。
2.食物摂取・地域習慣に関する研究
たばこ以外の要因として食物摂取、地域習慣との関連に注目した研究が行われている。
大野ら14)は、沖縄県の1978年から1982年の肺癌の標準化死亡比(男子:131.2 、女子:91.1)が男子では全国で最も高く、女子では最も低い長野県(89.3)と大差がないことに注目し、既存の資料を用いて検討を行った。その結果によると、沖縄県の肺癌の年齢訂正死亡率は1972年以降増加し、最近の 14 年間で男女とも2倍に増加している。年齢別、同年出生コホート別死亡率、平均死亡年齢は全国平均と大差がなく、また保健所別にみた死亡率では高死亡地域がみられたが、地域集積性はみられなかった。また肺癌発生の要因と考えられている喫煙については、喫煙率は男子で 20 %、女子で 10 %と全国平均より低かった。
栄養摂取に関しては、全国平均と比較して炭水化物がやや少なく、動物性脂肪が多く、緑黄色野菜は少ないことがみとめられた。しかし、ビタミンAは全国平均の 1.8 倍、豆類と肉類は 1.4 倍であることを報告し、この沖縄県における肺癌発症の要因を検討している。
大野ら15)は、研究班が定めた面接調査方法により、1988年に症例対照研究を開始した。その後、毎年肺癌症例が収集され、これら症例とその対照者(同一市町村に居住、同性、同年令の一般住民)について、居住地、居住環境、生活歴、既往歴、職業歴等の詳細な調査が行われている16)-19)。
1988年1月1日より1991年11月30日までに調査された沖縄の肺癌症例 333 名と対照例 666 名についての検討結果では、男子では小細胞癌を除くすべての組織型で呼吸器疾患の既往(肺結核、慢性気管支炎、肺炎)、腺癌では肺癌の家族歴,扁平上皮癌ではタール散布(職業)が高リスク因子であった。女子では男子と同様な傾向がみられなかった。喫煙については、男子ではどの組織型でも関連がみられた。特に扁平上皮癌では強い関連(オッズ比が大きい)がみられ、喫煙指数(Brinkman Index)が 800 以上の群はそれ以下の群にくらべてきわめて高いオッズ比がみられた。女子では腺癌以外で喫煙との正の関連がみられた。
受動喫煙については、男女とも関連を示すものはなかった。
食習慣については、男女とも緑黄色野菜の摂取量が多い群ほどオッズ比が小さく、肉類については関連がみられなかった。個々の食品では、味噌汁が高いオッズ比を示した。また、豆腐、みかん類の摂取については、男子の場合、ほとんどの組織型でオッズ比が1以下であった。
以上の結果をふまえ、肺癌発生を左右することが予測される食物摂取内容をさらに詳細に検討するため、1992年以降の症例についても引き続き調査が行われている。
肺癌に限定されないが、ビタミンA、カロチンの大量投与が癌発生を抑制するとの既存の報告を考え合わせると、現在行われているこの疫学調査は、肺癌発生を防止する食生活のありかたを明らかにするための貴重な基礎資料となるものと考えられる。
なお、1987年に始まり現在も継続している大野らの研究では、沖縄の肺癌症例についての疫学的研究だけでなく、千葉県・長崎県等で収集された肺癌症例との臨床・病理学的比較検討が行われているが、他の領域との重複を避けるため、本項では割愛した。
2)口腔癌およびロイコプラキーに関する疫学研究
解剖学的、病理学的に考えると、口腔は吸入された物質による影響だけでなく、摂取された食物、飲料水などの影響を受ける部位である。したがって、口腔癌の発生要因として喫煙だけでなく飲酒の影響が指摘されている。
天笠ら20)21)は、前癌病変のロイコプラキーおよび口腔癌と喫煙の関係、喫煙がロイコプラキーの悪性化に影響するかどうかを検討するために、ロイコプラキーおよび口腔癌患者とその対照者(当該疾患および悪性腫瘍がない患者)について喫煙状況を調査した。その結果によると、口腔癌患者は対照者にくらべ喫煙者が多かったが、ロイコプラキー患者では差はなく、また部位別にみると舌、上顎では喫煙との関連はみられず、口底、咽頭では喫煙との関連が示唆された。
ロイコプラキー患者では男性の軟口蓋、女性の多発症例には喫煙者が多い傾向がみられたが、舌、上顎歯肉では喫煙との関連はみられず、また喫煙はロイコプラキーの悪性化を促す因子ではないことを明らかにした。
さらに1990・1991・1992年の調査22)-24)では、飲酒習慣の調査を加え同様な検討を行い、口腔癌患者群とその対照患者群とを比較すると、1日喫煙本数では1%未満、Brinkman Indexでは 0.1 %未満の危険率で両者のあいだに差がみられ、部位別では咽頭、上顎洞および口底では喫煙との関連が強いことを認めている。また、飲酒についても5%未満の危険率で有意差がみられた。しかし、オッズ比をみると、喫煙と飲酒が高度なもので相対危険度が上昇するものの、喫煙のみあるいは飲酒のみでは相対危険度の上昇は見られなかった。
ロイコプラキー患者とその対照群とのあいだでは、男女とも飲酒・喫煙習慣に差がみられず、また喫煙とロイコプラキーの悪性化との関連も否定的であった。
3)子宮頸癌、子宮体癌に関する疫学研究
子宮頸癌と喫煙との関係については、多くの調査で両者のあいだに有意な関係がみられるとする報告があるものの、ヒトパピローマウイルスの性行為感染症が一次的な要因であり、喫煙は交絡因子である可能性、あるいは喫煙に代表される生活行動のなかにその要因があるとする見解が示されている。
一方、子宮体癌については、主として欧米の研究で喫煙がその発生を抑制するとの報告がなされ、これらの点に着目した研究が行われている。
石黒ら25)-29)は、1986年から1990年にかけ、滋賀医大、愛媛大学、近畿大学付属病院、大阪府立成人病センターおよび兵庫県立成人病センターの協力を得て、産婦人科入院患者とその対照者について喫煙等の生活習慣、社会経済因子、妊娠歴、既往歴および家族歴等の調査を行っている。
調査対象数は年度により異なるが、1990年の報告では1,423名(悪性腫瘍:681名、子宮頸部異形成上皮および子宮内膜増殖:71名、良性腫瘍の対照:671名)であった。この報告では、子宮頸部扁平上皮癌患者群の平均喫煙率は対照群にくらべ有意に高かった。
しかし、喫煙以外の諸因子と相対危険度を用いて比較すると、子宮頸部異形成上皮群では喫煙のみが唯一の危険因子であったが、子宮頸部癌患者群では、喫煙以外に性生活(経口避妊薬の使用、妊娠回数)および年齢で有意な相対危険度が得られ、喫煙以外の因子の介在が大きいことを明らかにしている(図-3)。
一方、子宮体部癌と喫煙とのあいだには、有意な関連はみられなかった。そのほか、体部癌の前癌病変である子宮内膜増殖症と肥満度とのあいだには有意な関連がみられたが、子宮体部癌そのものと肥満度とのあいだには有意な関連がみられなかったことを報告している(図-4)。
脳・循環器疾患の疫学
図-1に示したように、脳血管障害の死亡率は昭和45年以降は著明に減少したものの、「寝たきり老人」の半数以上は脳血管障害に起因するものである。また、心疾患の死亡率は死因の第2位であり、経年的にはその増加がみられている。これらの現象から考えると、脳・循環器疾患の発生予防は重要な課題であると考えられる。
脳・循環器疾患と喫煙との関係1)については、脳卒中については喫煙により死亡率、発生率が増大するとする報告もあるが、増大を認めないとする報告もあり、明確な結果は示されていない。
虚血性心疾患については、欧米では喫煙者の死亡率・発生率が非喫煙者にくらべ高く、そのリスクも高いことが報告されているが、日本では報告が少なく、そのリスクも欧米の成績にくらべて低いことが明らかにされている。このリスクの差は発症を左右する食生活、生活環境等の相違によるものとも考えられるが、今後の検討が必要であろう。
脳卒中、虚血性心疾患との関連が認められている高血圧については、喫煙者の血圧は非喫煙者の血圧にくらべて低いとする報告が多くみられており、喫煙が高血圧発症の要因であるとすることには多くの矛盾がある。以上のように脳・循環器疾患と喫煙との関係については、多くの報告があるものの未解明な点が多く残されている。
1)循環器疾患の疫学研究
家森ら30)-33)は、開発した脳卒中易発症ラット、心筋梗塞ラット等のモデル動物による研究を行い、「血管の病気」は遺伝環境相関によって発症するが、たとえ遺伝素因が強くても生活環境因子の影響も大きく、特に栄養条件の改善で疾病の発生を予防できることを指摘している。彼らは具体的な予防策を講じるため、WHOの後援のもとに世界24ヶ国と共同して「循環器疾患と栄養国際共同研究(Cardiac study)」を行い(1987年に終了)、その資料について解析を行っている。
なおこの研究では、各国で循環器死亡率の異なる複数集団を選び、各集団( 54 集団)の 50~54 歳の男女各 100 名を対象として、検診を行っている。
検診では、客観的指標を得るため、血圧を自動記録式血圧計により記録し、電解質、蛋白摂取量の評価は24時間尿中の各種の生物学的指標を測定し、喫煙習慣については、問診のほかに尿中のコチニンの測定を行っている。
その結果、血圧を高める因子は食塩(尿中のナトリウム排泄量)、尿中のマグネシウム・尿素窒素および肥満体型(カウプ指数)であり、血圧を下げる因子はカルシウムおよび尿中アミノ酸(タウリン<魚肉摂取の指標>、ヒスチジン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン)であることを明らかにした。
また、喫煙習慣と血圧の関係については、一部地域(表-1の富山)を除き、喫煙者のほうが非喫煙者よりも血圧が低かったことを報告している。ただし、本研究では、報告年次により検討対象国、集団数が異なっている。
なお、肥満度と血清コレステロールのあいだには有意な正の相関がみられたが、血圧と血清コレステロール値とのあいだには有意な相関は見られていない。
虚血性心疾患および脳血管疾患の年齢訂正死亡率と血液、尿中の栄養因子の生物学的指標との関係については、信頼性の高い死亡統計が得られた 14ヶ国 19 集団について解析を行い、虚血性心疾患年齢訂正死亡率と血清総コレステロールとのあいだに有意な正の相関が、血漿リン脂質中の多価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比、N-3系多価不飽和脂肪酸、炭素類 20 以上の高度多価不飽和脂肪酸および 24 時間尿中タウリン排泄量とのあいだに有意な逆相関がみられた。また、脳卒中年齢訂正死亡率と24時間尿中ナトリウム排泄量および尿中ナトリウム/カリウム比とのあいだに有意な正相関、血清総コレステロールとのあいだに有意な逆相関がみられている。
また、循環器疾患の種族間の差を考慮して、環境要因の影響の有無を明らかにするため、45~59 歳の在ブラジル日系移住者 269 人、沖縄県住民 155 人および島根県住民 199 人について、身体計測、血圧測定、24 時間尿、採血、心電図検査、栄養、病歴に関する問診を行い、同様な調査を、ハワイ島ヒロ市の沖縄県出身の日系移住者 150 名、沖縄県在住者 243 名、沖縄県出身在ブラジル日系移住者 167 名について行っている34)-36)。
これらの結果では、たとえば降圧剤の服用者を含む高血圧の頻度、心電図の虚血性変化の割合は在ブラジル日系移住者に高く、尿中のナトリウム、カルシウム、タウリン排泄量は島根県、沖縄県で高く、血圧の平均値、高血圧有病率は在ハワイ日系移住者で高く、血清総コレステロール値は在ハワイ日系移住者で平均 230 と沖縄県住民、在ブラジル日系移住者の 190 より高いなど、同一種族であっても、食生活を含む生活環境が循環器疾患の多寡を左右するものであることを明らかにしている。
また肥満者が多く、血清総コレステロール値が高いハワイ日系移住者でも、男女ともに肥満度、血圧、血清総コレステロール値は喫煙者のほうが非喫煙者よりも低値であったことを報告している。
喫煙習慣別にみた血圧、コレステロール値等について、常俊ら37)は、宮崎県K町の 40 歳以上の住民 6,856 名の調査資料および事業所従業員 405 名の疫学調査資料について解析を行った。収縮期、拡張期血圧は男女とも前喫煙群で最も高く、非喫煙群がこれにつぎ、喫煙群が最も低い値を示した。喫煙群の肥満度および皮脂厚の平均値は非喫煙群、前喫煙群より低値であり、喫煙群では喫煙量が増加するにつれて肥満度と皮脂厚も増加する傾向がみられた。
血液所見については、総コレステロール、HDL コレステロールが男女とも、非喫煙群、喫煙群にくらべ前喫煙群で高いことから、禁煙に伴う変動を予測している。
一方、事業所従業員を対象とした調査では、喫煙量の増加に伴い米、大豆、乳製品、淡色野菜、果実(植物性蛋白、繊維、カルシウム、穀物エネルギー)の摂取量が減少し、肉、嗜好品およびアルコールの摂取量の増加がみられたことより、喫煙に伴う食生活の変化を考慮して検討することが必要であるとしている。これらの結果は、断面調査で得られたものである。
宮崎県K町の調査・検診は、1978年以降 40 歳の住民約 9,000 名を4区分し、4年間で検診・調査を終了したが、5年目からさらに同様な調査・検診を行うように再計画され、現在も調査・検診が継続して行われている。すなわち、同一対象者について、4年間隔で調査・検診が行われている(追跡調査)。常俊ら38)-42)は、1989年以降この調査の特徴を生かし、喫煙習慣の変動による血圧、血液所見等の変化について解析を行った。その結果、禁煙に伴い体重の増加、血圧の上昇、血中コレステロール、トリグリセライド、尿酸、および BUN (血液尿素窒素)の増加がみられること、これらの変化は禁煙開始年齢が高いほど著明であるとともに、降圧剤服用者を除いた群でも同様の結果がみられることなどを明らかにした。また血圧の上昇、血中コレステロール、トリグリセライド、尿酸、および BUN の増加は、禁煙後の食生活の変化による可能性があることを考慮し、禁煙後の体重の増減別に分けて検討しても、同様な変化がみられたことを報告している。
禁煙に伴う前述の変化については、さらに今後の検討が必要であるが、現時点では食生活の変化によるものではなく、禁煙に伴う薬理学的生体反応によるものであろうと推論している。
2)動脈硬化に関する疫学研究
行方ら43)-45)は、シアトル市の日系人 6,658 名と動脈化学研究所が日本国内で行っている循環器検診で喫煙習慣に関する調査を行った 7,878名について、理論的に動脈硬化の程度を反映すると考えた大動脈脈波速度(PWV、動脈硬化が増加するほど、動脈管の直径に対して壁厚の比率が高くなるほど速度は増加する。単位は m/sec )、血圧、眼底所見(Scheieの分類)、総コレステール、HDL コレステロール、LDL コレステロール、肥満度(BMI:体重/身長2)等の検査を行った。これらの検査結果について、喫煙習慣別にみた各検査項目の比較を日米間で行い、さらに PWV を左右する因子についての検討を行っている。
喫煙習慣別にみた前記検査の平均値は、日系人では BMI、最高血圧、総コレステロールに差がみられず、HDL コレステロールは現喫煙者および前喫煙者の平均値が非喫煙者よりも低く、PWV は 40 歳代、70 歳以上の現喫煙者の平均値が非喫煙者の平均値より高くなっていた。
日本人の男子では BMI、最高血圧、HDL コレステロールに差がないが、総コレステロールの平均値は 70 歳以上を除く各年代で現喫煙者の平均値が非喫煙者の平均値より低かった。PWV の平均値は 30 歳代、70 歳代では有意の差がみられないが、40・50・60 歳代では現喫煙者、前喫煙者の平均値が非喫煙者より高かった。女子では 30 歳代の BMI、総コレステールおよび 30・40 歳代の最高血圧平均値は非喫煙者より現喫煙者のほうが低く、PWV はいずれの年代でも現喫煙者の平均値は非喫煙者より低かった。
日本人と日系人を比較すると、総コレステロール値は日本人のほうが低く、PWV も日本人のほうが低い傾向がみられたことを報告している。
PWV を従属変数とし、年齢、BMI、最高血圧、総コレステロール、HDL コレステロール、LDL コレステロール、現喫煙、前喫煙(非喫煙を0としたダミー変数)等を説明変数とした解析では、日本人男女、日系人男女とも年齢が大きな要因であり(回帰係数-日本人男子: 0.755 、女子: 0.743 、日系人男子: 0.624、女子: 0.717)、そのつぎの要因は最高血圧(日本人男子: 0.139、女子: 0.164 、日系人男子: 0.118、女子: 0.175)であった。総コレステロールは日系人女性のみ(0.111)、HDLコレステロールも日系人女性のみ(-0.110)で有意であった。
喫煙習慣については、日系人男性の現喫煙者(0.111)、前喫煙者(0.119)のみで有意であつた。
日系人男性では、喫煙が血清脂質と相互に作用して動脈硬化を促進するものと考えられるが、血清脂質が比較的低い日本人では、喫煙による動脈硬化促進効果がみられなかった。このように、喫煙が動脈硬化に与える影響は、血清脂質を増加させる食生活要因の有無により左右されるものであり、喫煙単独ではその影響はきわめて少ないことを明らかにしている。
3)循環器疾患の疫学研究に関する文献考察
循環器疾患の長期追跡調査に関する知見について、松尾ら46)47)は、Framingham study(1948年に調査を開始、40 年以上の資料の集積がある。)に関する既存の文献を収集し、喫煙と循環器疾患との関係の評価を行っている。
冠動脈性心疾患(CHD)と喫煙の関係について、追跡期間 14 年以上の群では喫煙によるリスク比は男で 1.0~1.4 と関連性は弱く、女では 0.8~1.1 で関連性はないと評価されている。しかし、最近注目されている因子(HDL コレステロール、フィブリノゲン、A型性格)を考慮する必要があるとし、たとえば喫煙者で高く(量-反応の関係がある)、禁煙により低下することが知られているフィブリノゲンを加えて検討すると、14 年間に発生した心血管疾患(CVD)、CHD の年齢補正後のリスクは、フィブリノゲン値と正の相関があり、また喫煙、非喫煙群に分けても、男女ともフィブリノゲン値と CVD、CHD のリスクは正の相関があった。
多変量解析を行うと、喫煙よりもフィブリノーゲンのほうが強力な独立のリスクファクターであるため、喫煙因子の回帰係数が低下することに注目し、CHD 発生に関連がある新たな因子が解明されれば、喫煙の及ぼす影響の重要度はさらに少なくなる可能性もあると考察している。
喫煙期間と CHD 発生とのあいだに関係がみられなかったことから、喫煙はすでにほかの原因により高度な病変を有する人の発作の引き金であると推論している。
この調査では、男子で初診時(45~75歳)喫煙者であったものが禁煙すると、CHD の発生は持続喫煙群の 1/2 になるだけでなく、非喫煙者群よりも低くなることが観察されている。この点については、禁煙以外のほかの要因についての解明が必要であるとの見解を示している。
さらにこの報告では、突然死(発症 24 時間以内の死亡)、脳卒中等についても考察を行い、突然死については、男性で死亡前に CHD の診断がついていない場合にのみ喫煙が発症のリスクファクターであることが認められ、CHD 診断後に禁煙するものがあるため、診断時の喫煙と死亡の関係は明確ではないとしている。
脳卒中については、喫煙が粥状硬化性脳梗塞のリスクファクターであることが明らかであるが、その関連の強さは高血圧、心肥大、耐糖機能障害ほどではないと要約している。
1990年の報告では、1973年から6年間にわたって行われたMultiple Risk Factor Intervention Trial(MRFIT)に関する文献を収集し、総括的な要約を行っている。
この MRFIT は、CHD の臨床症状はないがFramingham studyで明らかにされた CHD 発症に関する危険因子(血清コレステロール、高血圧、喫煙)を有する 35~57 歳の男性約 12,000人以上を選び、無作為に2群(SI、UC)に分け、SI(Special Intervention)群の 6,428 例について食事指導、利尿降圧剤の投与および禁煙を予め定めた基準に従い実行するように(介入)し、UC(Usual Care)群の 6,438 例についてはその治療を家庭医にまかせ、それぞれ6年間の追跡調査を行ったものである。以上の調査で、両群の危険因子の指標は経年的に低下したが、UC 群では低下の程度が少なく、SI 群と UC 群の差は有意であった。しかし、両群の死亡の差を見ると、SI-UC 差は CHD 死亡で -7.1 %( - はSI 群のほうが少ないことを示す)、心血管疾患死亡で -4.7 %、全死亡で +2.1 %であり、これらの差はいずれも有意ではなく、介入の効果は証明されなかった。このおもな理由は、UC 群でも家庭医の指導、本人の判断により危険因子が軽減されたことにより、予測以上に死亡率が減少したことにあるとし、とくに喫煙の場合、危険因子の軽減効果をみるためには観察期間が短すぎる等の問題を指摘している。
黒岩ら48)は、福岡県粕屋郡久山町の住民を対象に昭和 36 年以降長期にわたり行われている脳卒中、虚血性心疾患および高血圧を主とした循環器疾患の疫学調査に関する既存の文献を収集し、Framingham studyと対比して検討を行った。その結果、米国人に比較し久山町住民の脳卒中の頻度は高く、虚血性心疾患、突然死、TIA(一過性脳虚血発作)の頻度は低いとしている。脳卒中では小型梗塞あるいは出血が約半数を占め、最近のコホートでは、高血圧管理の充実により、脳卒中、心筋梗塞の頻度の低下がみられることを報告している。また、喫煙の影響に関しては、循環器疾患全体および脳卒中との関連性はみられないが(危険因子ではない)、心筋梗塞の危険因子であることを報告している。
4)循環器疾患に関連する健康指標に関する疫学研究
肥満と循環器疾患の関連性については多くの報告があり、また近年虚血性心疾患と性格との関連性を指摘する報告3)-5)がみられる。
柴田ら49)は、野外調査の結果、喫煙者のほうが非喫煙者より肥満度が少ないことに着目し、喫煙者と非喫煙者の食生活について調査を行っている。埼玉県T市の 30 歳以上の男性 1,105 名と群馬県T村の 40 歳以上の男性 1,211 名を対象に、食品摂取頻度の聞き取り調査を行い、喫煙習慣と有意な関連がみられるのはT市、T村とも間食であることを明らかにした。
間食の摂取量はT市では前喫煙者>非喫煙者>喫煙者の順、T村では非喫煙者>前喫煙者>喫煙者の順であった。これらの結果から、喫煙者、非喫煙者および前喫煙者の群間にみられる肥満度の差は、喫煙による代謝の亢進、体組織の中性脂肪酸を遊離脂肪酸にする喫煙の作用以外に、食生活そのものに依存する可能性があることを報告している。
性格と循環器疾患との関連性について、斎藤ら50)は、喫煙率が高く喫煙量も多い集団と一般的な喫煙率の集団を対象として、各種健康指標の調査および矢田部ギルフォード性格検査を行うとともに、喫煙の有無と疾患の関係を検討し、非喫煙群に比較して喫煙群では高血圧症が少なく、性格ではD型性格が多い傾向にあることを報告している。
また、柴田ら51)は、タイプAといわれる行動パターンすなわち積極的、攻撃的、きまじめなどの程度と喫煙の関連性を検討するため、長野県農村の中高年男子 684 名、群馬県農村の中高年男性 930 名および秋田県某事業所の男子従業員 701 名を対象に、行動パターンに関する簡易質問票による調査および食物摂取パターンの調査を行った。しかし、その結果では、喫煙習慣とタイプAのスコアとの間に一定の傾向がみられなかった。食物摂取パターンの調査では、肥満度に寄与する因子はみられず、喫煙のみが肥満度を低めていることを明らかにしている。
5)老年者の健康状態に及ぼす喫煙等の影響に関する疫学研究
わが国では人口の高齢化に伴い、寝たきり老人、痴呆性老人の増加が懸念されており、高齢者の健康保持、増進、寝たきり老人の発生を未然に防止するための対策の強化がはかれている。こうした状況下で、老人の健康障害と喫煙との関連性を明らかにするための疫学調査が行われている。
松崎ら52)53)は、1981年に東京都K市の 70 歳の住民 370名、1987年には1976年に東京都K市に住民登録をしていた 67~71 歳の住民 196名、および1987年1月に沖縄県O村に住む 65 歳以上で調査に協力した住民 253名についての健康状態と喫煙等に関する調査を行った。その結果、喫煙中止群に死亡者および健康状態の悪化を示すものが多く、また喫煙者群では低学歴の者が多く社会活動性も低い傾向がみられ、ケトレー指数(体重/身長2× 105)は有意に低く、血清総コレステール値も低い傾向がみられたことを報告している。
1988年には平均寿命が長い沖縄県O村の 65 歳以上の老人を対象に加えて追跡調査を行い54)、累積喫煙量別(Brinkmann Indexにより6群に区分)に健康指標(血圧、心拍数、身長、体重、握力、ケトレー指数、心電図異常、血清中の蛋白、アルブミン、総コレステロール、HDLコレステロール等)を比較した結果、喫煙量とのあいだに有意な関連がみられたものはなかったと報告している。
ついで1989年の報告55)では、身体活動能力を左右する要因は年齢、仕事の有無、食事(魚類、卵、緑黄色野菜)、医学的所見では皮下脂肪厚、握力、血清アルブミンであり、喫煙については喫煙量の増加に伴いオッズ比は低下するものの有意なものはなく、飲酒も身体的諸活動を左右するものでないことを明らかにしている。
その後の追跡調査56)-59)では、対象者を前期老人( 75 歳未満)と後期老人( 75 歳以上)に分けて検討を行っている。後期老人の身体活動能力と喫煙習慣とのあいだには関連性がみられ、呼吸器疾患の既往歴を有するものの率は喫煙中止者で高く56)、老化や死亡に影響を与える因子(老化促進)は握力、ヘモグロビン、アルブミンの低下であった57)。また、死亡のリスクをみると、身体活動能力と喫煙習慣とのあいだに関連性がみられた男性の後期老人でも、喫煙者のほうが非喫煙者よりもリスクが低く、喫煙は身体諸活動に影響を与えるものの、死亡を引き起こすものではないことを報告している57)。
日常生活について喫煙者、非喫煙者および前喫煙者の3群に分け比較すると、群間に明らかな特徴的な差はみられないが、喫煙群では他の群に比べ規則的・健康的生活習慣の実行率が低い傾向がみられた58)。しかし、前述した健康指標についての縦断的な変化の主な因子は、加齢(老化)によるものであり、喫煙との関係は明確でなかったと報告している58)。
追跡調査5年目の検討59)では、従来の報告に加えて、喫煙習慣別食品の摂取状況について調査している。その結果では、米飯の高摂取者は喫煙群に多く、海草類の高摂取者は前喫煙群に多いものの、いずれも有意なものではなく、食品摂取状況については喫煙群と他の群とのあいだに差がみられなかった。飲酒については、喫煙群で飲酒の傾向が強く、前喫煙群では飲酒をやめた者が多いことなど、喫煙習慣と飲酒習慣との関連を示唆する結果を報告している。
柴田ら60)61)は、平均寿命の短い秋田県南外村の 65 歳以上の住民 791 人を対象として、喫煙と生命予後および健康指標との関連を明らかにするための追跡調査を行っている。初年度の報告60)では、65 歳以上の喫煙者の割合は男子で 40.0 %、女子で 2.5 %であり、高齢者ほど喫煙者の割合が少なくなっていた。
喫煙群、前喫煙群、非喫煙群に分け、過去1年間の入院率を比較すると、前喫煙(喫煙中止)群でもっとも高く、喫煙群、非喫煙群の順であった。過去3か月の通院歴を有する者の率も前喫煙群でもっとも高く、また心筋梗塞の既往歴を有する者の率も前喫煙群で高かった。
さらに1年後の報告61)では、毎日酒を飲む割合は喫煙群でもっとも高く( 64.2 %)、つぎに前喫煙群( 52.3 %)、非喫煙群( 39.0 %)の順であった。健康法(毎日散歩する、食事に気を配る、酒をつつしむ、過労に注意、睡眠を十分とる、規則正しい生活)の実施率は、非喫煙群( 76.6 %)>前喫煙群( 71.6 %)>喫煙群( 67.9 %)の順であり、また非喫煙群では老人クラブへの参加、知人・友人との付き合い、スポーツ等の社会・文化的行動が活発であったが、喫煙群では消極的な者が多い傾向がみられた。1年間の死亡率は、前喫煙群で高値であったと報告している。
以上の松崎、柴田らの報告は、老後の健康を左右する要因は喫煙習慣による可能性よりも、喫煙習慣に代表される食生活および行動パターンの差であること示唆しているが、これらの点については、対象者を取り巻く社会環境、地域的な特性を加味した詳細な検討が行われることが期待される。
その他
1)大気汚染および室内浮遊粉塵とアレルギー疾患、特に花粉症との関連についての疫学研究
わが国の都市部ではNO2、浮遊粉塵を主とした比較的高濃度の汚染がみられ、一方、住宅構造の変化(密閉化)、家庭内暖房器具の普及、受動喫煙による人体影響の懸念などから、室内汚染が問題視され、さらに大気汚染、室内汚染の共存による人体影響の顕在化についても関心がもたれている。
たとえば、近年増加している杉花粉症については、飛散量の多い農村部にくらべ、飛散量の少ない都市部で有症率が高く、大気中のディーゼル排気ガス等の浮遊粉塵が発症を助長する要因であることを示唆する報告がある。また、室内汚染(受動喫煙、暖房器具)の関与も無視できないとの指摘もなされている。
常俊ら62)63)は、これらの点に着目し、杉花粉症と大気汚染および室内汚染との関連性の有無を明らかにするための調査(追跡)を行い、有症率だけでなく、新規発症率についても検討を加えている。
この調査は、大気汚染濃度および環境条件の異なる大阪市内4校、大阪府下1校および宮崎県国富町の6校、計 11 校の学童を対象にして行われた。ATS-DLD の質問票(環境庁改定版)に鼻および眼のアレルギー症状を加えた質問票を用い、症状および家庭内の環境調査を行うとともに、血清中の非特異的 IgE 検査、特異的 IgE (杉、コナヒョウヒダニ)検査、呼吸機能検査を5年間毎年繰り返して行い、有症率だけでなく、新規発症率についても検討することができるように計画されている。
1992年、1993年の結果では、鼻アレルギー症状を有する学童のうち男子では 14.8 %、女子では 13.2 %が喘息症状を有していた。
喘息症状をもつ者の鼻アレルギー症状は喘息の随伴症状と考えるべきであり、これらのものを除いた鼻アレルギー有症率は男子で 22.8 %~28.5 %、女子では 18.1 %~22.6 %であり、女子よりも男子のほうが高率であった。この鼻アレルギー有症者のうち杉 IgE 抗体陽性者は男子で 23.6 %、女子で 17.2 %に過ぎず、杉花粉症の定義により有症率が異なることなどが明らかにされ、今後の調査結果についてもこの点の検討が必要であると考えられた。しかし、有症率を左右する主要因は杉花粉の飛散量であり、大気汚染および受動喫煙、暖房器具使用による室内汚染はそれを修飾するものではあるが、それらの寄与率はきわめて小さいことを示唆する結果が得られている。
2)喫煙と負の関係にある疾患について
たばこ煙に含まれる物質は約 4,000 種類におよぶものと考えられており、これら各物質の生体に及ぼす影響は未解明なものが多く、また同一物質であっても生体内の作用部位によりその作用が異なり、健康への影響は必ずしも悪影響に限定されるものでない6)と考えられている。
片山ら64)65)は、DIALOG および JICST のデーターベースにより、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、結腸癌、直腸癌、乳癌、アフタ、アルツハイマー型痴呆、子宮内膜症、サルコイドージス、過敏性肺臓炎、新生児呼吸窮迫症候群、睡眠時無呼吸症候群および肥満に関する文献を収集し、各疾患と喫煙との関係についてレビューを行っている。この結果の要約を表-2に示した。なおこれらの疾患については、食生活を含む喫煙以外の生活習慣に関する因子について、さらに検討される必要がある。また、たばこ煙に含まれる物質の多様性から考えると、個々の物質の生体内の薬理学的な作用機序が解明されれば、喫煙とそのほかの要因との相互作用もより明確になるものと期待される。
3)疫学調査・解析手法について
疫学調査・解析手法についてはすでに多くの方法が提案され、それぞれの研究目的に即して利用されているが、新たな解析手法についても検討され、報告されている。
岩田ら66)によれば、死因別死亡率は一般に都道府県別、二次医療圏(2、3の保健所を括った医療圏)別、保健所別に集計され、健康事象の地域特性を記述するための指標として用いられているが、都道府県別比較には各都道府県内の地理的特性が必ずしも均一ではないという問題がある。また、市町村・保健所別比較では、死亡数が少ない疾患の場合、比較のために用いられる標準化死亡比の信頼性が低いという問題があり、また県内の健康事象の特性を見るには有意義であったが、隣接県との関係をみるのには不適当であった。
二次医療圏での比較は、保健所単位での検討より地域特性がみやすいが、標準化死亡比が他の都道府県に類似していたりして、地理的に説明できないことが多かった。そこで岩田ら66)-68)は、現在の行政区画が施行される以前の徳川旧藩の区画に着目して解析を行った。これら旧藩の区画は、多くの場合、峠、峰、河川などの地理的条件により区分されていることが特徴である。
彼らは昭和 58 年から昭和 62 年までの5年分の厚生省の人口動態統計を使用し、全国を徳川旧藩に分け主要死因疾患の標準化死亡比を算出した。その結果、現在二つの県に別れていても、旧藩別にみると特定の疾患の死亡が共通して多い場合があり、現在同じ県であつても旧藩別にみると死亡比が大きく異なっていることなどを指摘し、旧藩別に死亡率を比較するほうが意義が大きいと報告している。ただし、この報告は死亡率の地域分布の問題に限定されており、各種疾患の発生・抑制因子を明らかにするには至っていない。わが国における物流機構の発達、人口の異動率の増加,食生活を含む生活環境の変化がみられる現時点でも、地理的・自然的条件によって形成された徳川旧藩の区分が疾病発生要因・抑制要因の解明に有効であるかどうかについては、今後の検討が必要であろう。
一方疫学研究については、調査対象の選別、代表性、調査の信頼性、解析手法の妥当性等種々の面からみた評価がなされている。こうした条件をみたした知見を用い総合的評価を行う解析手法として、メタ・アナリシスが用いられている。
メタ・アナリシスの応用に際しては、結果が統計学的に有意な研究は発表されやすく、有意でないものは発表されにくいこと(publication bias)があるため、既存の報告のみから計算されたオッズ比は過大評価である可能性が高い。杉田ら69)は、「結果が明快でない等の理由により未発表の仮想研究を想定すること」、「全研究のオッズ比の対数変換値が正規分布に従うと仮定すること」、「その重みをその標準誤差の逆数の2乗として加重平均した総合オッズ比の値を計算すること」の手順にしたがい、一種のモーメント法により仮想研究のオッズ比を間接的に計算した。そのうえで、未発表の仮想研究を含む全研究の総合オッズ比および全研究に占めるその未発表仮想研究の割合を推定することが可能であるとした。
杉田ら70)は、1992年に米国 EPA が報告した「Respiratory Health Effects of Passive Smoking:Lung Cancer and Other Disorders」について、種々の問題点と並んで publication bias が考慮されていないという問題があることを指摘し、この EPA 報告書の資料(数値)を用いて総合オッズ比の再計算を行っている。その結果、米国の総合オッズ比とその 95 %信頼限界は 1.11 ( 0.97~1.28 )となること、その値が 0.89 である 21.5 %の仮想的未発表論文の存在が示唆されたことを報告している。同時に、publication bias 除去後の値が統計学的に有意でなかったことを指摘しているが、そのことをもって米国において ETS (環境中たばこ煙)が肺癌死亡の原因でないと証明されたとはいい難いと述べている。
この報告は publication bias を考慮した検討方法の一例であり、研究目的に沿った解析手法の選択の必要性、ときには新たな解析手法の開発が必要であることを示唆している。
*1宮崎医科大学・公衆衛生学
文献
1) | 厚生省編 喫煙と健康、喫煙と健康問題に関する報告書 第2版(1993、保健同人社). |
2) | 常俊義三 肺癌-疫学.最新医学 44: 1394-1400, 1989. |
3) | 星野順一郎 タイプA行動パターンの精神生理-副交感神経機能低下と冠動脈疾患.桃生寛和、星野順一郎、保阪隆、木村一博編 タイプA行動パターン:251-262(星和書店、1993). |
4) | 上畑鉄之丞 労働ストレスと循環器疾患.桃生寛和、星野順一郎、保阪隆、木村一博編 タイプA行動パターン:283-289(星和書店、1993). |
5) | 木村登喜子、白崎けい子 虚血性心疾患とタイプA行動パターン:自己感(Self-concept)およびロールシャッハテストによる検討. 桃生寛和、星野順一郎、保阪隆、木村一博編 タイプA行動パターン:290-304(星和書店、1993). |
6) | 常俊義三 たばこ煙による生体影響研究の現状.エアロゾル研究:9, 207-214, 1994. |
研究年報
7) | 竹本和夫、片山博雄、高木欣一ほか 肺癌発生に及ぼす(若年時の)居住環境の疫学的研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:1-4. |
8) | 竹本和夫 肺癌発生に及ぼす(若年時の)居住環境の疫学的研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:1-4. |
9) | 竹本和夫、片山博雄、安達修一ほか 肺癌発生に及ぼす(若年時の)居住環境の疫学的研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:27-31. |
10) | 竹本和夫、片山博雄、安達修一 肺癌発生に及ぼす(若年時の)居住環境の疫学的研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:27-31. |
11) | 竹本和夫、片山博雄、安達修一 肺癌発生に及ぼす(若年時の)居住環境の疫学的研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:822-828. |
12) | 竹本和夫、片山博雄、安達修一 肺癌発生に及ぼす(若年時の)居住環境の疫学的研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:825-831. |
13) | 片山博雄、竹本和夫、安達修一 肺癌発生に及ぼす(若年時の)居住環境の疫学的研究.平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:907-914. |
14) | 大野良之、久保奈佳子、林 豊ほか 沖縄県における肺癌発生と関連要因に関する研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:5-17. |
15) | 大野良之、久保奈佳子、林 豊ほか 沖縄県における肺癌発生と関連要因に関する研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:10-26. |
16) | 大野良之、久保奈佳子、林 豊ほか 沖縄県における肺癌発生と関連要因に関する研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:13-26. |
17) | 大野良之、久保奈佳子、林 豊ほか 沖縄県における肺癌発生と関連要因に関する研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:806-821. |
18) | 大野良之、久保奈佳子、林 豊ほか 沖縄県における肺癌発生と関連要因に関する研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:808-824. |
19) | 大野良之、久保奈佳子、林 豊ほか 沖縄県における肺癌発生と関連要因に関する研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:893-926. |
20) | 天笠光雄、岩城 博、藤井英治 喫煙と口腔癌、ロイコプラキーに関する臨床疫学的研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:1-4. |
21) | 天笠光雄、岩城 博、藤井英治ほか 喫煙と口腔癌、ロイコプラキーに関する臨床疫学的研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:1-6. |
22) | 天笠光雄、岩城 博、藤井英治ほか 喫煙と口腔癌、ロイコプラキーに関する臨床疫学的研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:790-798. |
23) | 天笠光雄、岩城 博、藤井英治ほか 喫煙と口腔癌、ロイコプラキーに関する臨床疫学的研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:798-807. |
24) | 天笠光雄、岩城 博、藤井英治ほか 喫煙と口腔癌、ロイコプラキーに関する臨床疫学的研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:883-891. |
25) | 石黒達也 喫煙の婦人性器癌発癌に及ぼす影響に関する疫学研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:5-9. |
26) | 石黒達也 喫煙の婦人性器癌発癌に及ぼす影響に関する疫学研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:18-21. |
27) | 山本嘉昭、石黒達也 喫煙の婦人性器癌発癌に及ぼす影響に関する疫学研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:5-9. |
28) | 石黒達也、山本嘉昭、山本昌子 喫煙の婦人性器癌発癌に及ぼす影響に関する疫学研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:7-11. |
29) | 石黒達也、山本嘉昭、山本昌子 喫煙の婦人性器癌発癌に及ぼす影響に関する疫学研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:799-806. |
30) | 家森幸男、奈良安雄、澤村 誠ほか 喫煙と循環器疾患の関連についての疫学的研究-循環器疾患と栄養国際共同研究(WHO CARDIAC STUDY)-. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:335-342. |
31) | 家森幸男、奈良安雄、澤村 誠ほか 喫煙と循環器疾患の関連についての疫学的研究-循環器疾患と栄養国際共同研究(WHO CARDIAC STUDY)-. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:213-218. |
32) | 家森幸男、奈良安雄、石永裕司ほか 喫煙と循環器疾患の関連についての疫学的研究-循環器疾患と栄養国際共同研究(WHO CARDIAC STUDY)喫煙習慣と血圧-. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:200-206. |
33) | 家森幸男、奈良安雄、永嶋春朔ほか 喫煙と循環器疾患の関連についての疫学的研究-国際栄養疫学的研究における喫煙と栄養因子との関連-. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:157-165. |
34) | 家森幸男、奈良安雄、永嶋春朔ほか 喫煙と循環器疾患の関連についての疫学的研究-国際栄養疫学的研究における喫煙と諸栄養因子との関連-. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:839-847. |
35) | 家森幸男、奈良安雄、永嶋春朔ほか 喫煙と循環器疾患の関連についての疫学的研究-国際栄養疫学的研究における喫煙と諸栄養因子との関連-. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:842-846. |
36) | 家森幸男、奈良安雄、永嶋春朔ほか 国際栄養疫学的研究における喫煙と諸栄養因子との関連. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:915-931. |
37) | 常俊義三、田中隆信、加納栄三ほか 禁煙に伴う生体反応に関する研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:739-744. |
38) | 常俊義三、田中隆信、中村洋之ほか 禁煙に伴う生体反応に関する研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:462-466. |
39) | 常俊義三、田中隆信、中村洋之ほか 禁煙に伴う生体反応に関する研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:526-530. |
40) | 常俊義三、田中隆信、中村洋之ほか 禁煙に伴う生体反応に関する研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:498-503. |
41) | 常俊義三、田中隆信、中村洋之ほか 禁煙に伴う生体反応に関する研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:651-657. |
42) | 常俊義三、田中隆信、中村洋之ほか 禁煙に伴う生体反応に関する研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:933-940. |
43) | 行方 令、清水義治、林知己夫ほか 喫煙の動脈硬化に及ぼす影響に関する疫学的研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:214-221. |
44) | 行方 令、清水義治、林知己夫ほか 喫煙の動脈硬化に及ぼす影響に関する疫学的研究. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:829-831. |
45) | 行方 令、清水義治、林知己夫ほか 喫煙の動脈硬化に及ぼす影響に関する疫学的研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:832-841. |
46) | 松尾 博、春見建一、黒岩昭夫ほか 循環器疾患に関する長期追跡調査結果のレビュー. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:762-770. |
47) | 松尾 博、春見建一、黒岩昭夫ほか 循環器疾患に関する長期追跡調査結果のレビュー. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:886-900. |
48) | 黒岩昭夫、春見建一、松尾博司ほか 循環器疾患に対する喫煙の影響に関する長期追跡調査結果のレビュー. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:901-913. |
49) | 柴田博、松崎俊久、児島三郎ほか 喫煙と循環器疾患の関連についての疫学的研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:237-239. |
50) | 斎藤振二、吉川博通、小浜基郎 喫煙と飲酒の比較における生活習慣と疾病の関連について. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:756-757. |
51) | 柴田博、松崎俊久、児島三郎ほか 喫煙と循環器疾患の関連についての疫学的研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:209-212. |
52) | 松崎俊久、上野満雄、芳賀博ほか 喫煙と老年者の健康状態・死因・寿命に関する疫学的研究. 昭和61年度喫煙科学研究財団研究年報:751-755. |
53) | 松崎俊久、芳賀博、上野満雄ほか 喫煙と老年者の健康状態・死因・寿命に関する疫学的研究. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:715-719. |
54) | 松崎俊久、上野満雄、須山靖男ほか 長寿地域における老人の喫煙行動と健康指標に関する疫学的研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:745-749. |
55) | 松崎俊久、平良一彦、崎原盛造ほか 長寿地域における老人の喫煙行動と健康指標に関する疫学的研究(第2報). 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:715-719. |
56) | 松崎俊久、平良一彦、宮城重二ほか 寿命並びに中高年の疾病発生に及ぼす喫煙行動. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:783-789. |
57) | 松崎俊久、平良一彦、牧山文彦ほか 長寿地域における老人の喫煙行動と健康・活動能力に関する疫学的研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:787-797. |
58) | 松碕俊久、平良一彦、當山富士子ほか 長寿地域における老人の喫煙行動と健康・活動能力に関する疫学的研究(2). 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:871-882. |
59) | 松崎俊久、平良一彦、當山富士子ほか 長寿地域における老人の喫煙行動と健康・活動能力に関する疫学的研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:901-912. |
60) | 柴田 博、芳賀 博、永井晴美ほか 短命地域における老人の喫煙行動と健康指標に関する疫学的研究. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:750-754. |
61) | 柴田 博、芳賀 博、永井晴美ほか 短命地域における老人の喫煙行動と健康指標に関する疫学的研究. 平成元年度喫煙科学研究財団研究年報:720-724. |
62) | 常俊義三、田中隆信、前原正法ほか 大気汚染及び室内浮遊粉塵とアレルギー疾患、特に花粉症との関連について. 平成2年度喫煙科学研究財団研究年報:798-804. |
63) | 常俊義三、田中隆信、前原正法ほか 大気汚染及び室内浮遊粉塵とアレルギー疾患、特に花粉症との関連について. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:849-857. |
64) | 片山博雄、小田切陽一、安達修一ほか 喫煙とNegativeな関係を有する疾病に関する文献調査. 昭和62年度喫煙科学研究財団研究年報:766-779. |
65) | 片山博雄、小田切陽一、安達修一ほか 喫煙とNegativeな関係を有する疾病に関する文献調査. 昭和63年度喫煙科学研究財団研究年報:792-825. |
66) | 岩田弘敏、井奈波良一、竹内宏一ほか 徳川旧藩でみた死因別死亡率等健康指標の地理病理学的研究. 平成3年度喫煙科学研究財団研究年報:847-853. |
67) | 岩田弘敏、井奈波良一、竹内宏一ほか 徳川旧藩でみた死因別死亡率等健康指標の地理病理学的研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:920-927. |
68) | 岩田弘敏、井奈波良一、吉田英世ほか 徳川旧藩でみた死因別死亡率等健康指標の地理病理学的研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:941-947. |
69) | 杉田稔、金森雅夫、伊津野孝 メタ・アナリシスの応用と限界に関する研究. 平成4年度喫煙科学研究財団研究年報:928-933. |
70) | 杉田稔、金森雅夫、伊津野孝 メタ・アナリシスの応用と限界に関する研究. 平成5年度喫煙科学研究財団研究年報:948-954. |